ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

日本の農薬使用に関して言われていることの嘘


注1:ADI(Acceptable Daily Intake):ヒトがある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量。
注2:ARfD(Acute Reference Dose):ヒトが24時間、またはそれより短時間の間の経口摂取によって、健康に悪影響が生じないと推定される摂取量。

食品を通じた農薬の摂取量がこれらの指標を下回ることを確認し、残留基準が設けられているのだ。
でもどうやって、人体が摂取する残留農薬を計算しているのか。それが「TMDI:理論最大1日摂取量」である。これは、「残留基準値×あらゆる食品の平均摂取量」で試算される。その意味するところはこうだ。
まず、残留基準の設定により、各食品に農薬がその基準いっぱいまで残留していると仮定(最大値)する。そのうえで食品ごとに当該農薬の摂取量を算出し、その値を全食品で積み上げることにより推定する値である(注:ちなみに、厚労省は日本におけるありとあらゆる食品の摂取量を調査。国民平均のTMDIのほか、幼小児、妊婦、高齢者といった集団ごとも調べている)。
ポイントは、その総和がADIを超えていないかどうかだ。
人の健康によって肝心なのは、消費される食品全体を通じた農薬摂取量であり、ADIに基づく残留農薬のリスク管理の視点である。
そうはいっても、上記の数値は理論上の推定量に過ぎず、実際に我々が日々の食生活で摂取している実際の農薬摂取量はもっと多いのではないか、という反論もあるかもしれない。
その疑いに対する回答は簡単だ。農薬のリスク管理制度は3点セットで、理論と実際が検証される仕組みになっている。
一点目がすでに解説した「農薬の残留基準値の設定」、もう一つが「残留農薬のマーケットバスケット調査」、そして3点目が「残留農薬のモニタリング検査」である。
マーケットバスケット調査では残留農薬の一日摂取量を調べる。市販の様々な食品を組み合わせ(各食品の国民の平均摂取量に基づく)だけではなく、食品に応じて煮る、焼く等の調理を加えたものをサンプルとして、残留農薬の検査を行うもの」(厚労省)だ。この調査により、「理論最大摂取量(TMDI)による推定に比べ、食事を通じて人が摂取する農薬の量をより実態に近く推定することが可能」(同上)となる。
毎年行なわれているが、これまでの調査結果を見ると、我々が実際に摂取
している残留農薬はADIの約100分の一程度であることがわかる。

関連記事

powered by weblio