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【農業は先進国型産業になった!】
日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第14回 本物のワイナリーをめざす厳格な産地表示主義者 (株)オチガビワイナリー(北海道余市町)
- 評論家 叶芳和
- 第34回 2020年02月28日
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オチガビワイナリーのワイン価格は、図1の傾向線から上方に乖離している。山崎ワイナリー(三笠町)と生産規模はほぼ同じであるが、価格は2倍近い。落氏のワイン哲学、高級仕様のワイナリー施設、会員によるワイン購入等が製品差別化を容易にし、高価格を実現させていると考えられる。
なお、小規模ほど高価格という現象は、米国でも同じである。例えば、直販(Direct-to-Consumer)チャネルのワイン価格は、大ワイナリー(50万ケース以上)19.65ドル、中規模(5万~49万)34.31ドル、小規模(5000~4万9000)42.97ドル、極小(1000~4999)61.97ドル、限界企業(999以下)70.31ドル(Wines Vines Analytics)。(注:米国流通ワイン全体の7割は9ドル以下)。
同レポートの分析によると、1本当たり平均価格は大幅に上昇してきたが(ワインのプレミアム化)、19年は米中貿易紛争などで経済の不確実性が高まり、出荷量の成長が非常に遅くなっていることから、継続的な価格上昇は持続的でないかもしれない(プレミアム化の中断)と予測している。つまり、ワインは中・高所得層によって消費されているので、所得要因で成長が左右されるということであろう。日本ワインの将来に示唆を与えるだろうか。
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叶芳和 カノウヨシカズ
評論家
1943年、鹿児島県奄美大島生まれ。一橋大学大学院経済学研究科 博士課程修了。元・財団法人国民経済研究協会理事長。拓殖大学 国際開発学部教授、帝京平成大学現代ライフ学部教授を経て2012年から現職。主な著書は『農業・先進国型産業論』(日本経済新聞社1982年)、『赤い資本主義・中国』(東洋経済新報社1993年)、『走るアジア送れる日本』(日本評論社2003年)など。
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