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土門「辛」聞

国による減反枠配分がなくなって変わったこと、変わらなかったこと(2)


飼料用米や米粉用米などをメニューに取り入れたことは、その名の通り、水田を有効利用できるということで評価に値するものだった。ただ交付単価を高くしすぎたことで評価を下げた。とりわけ自民党が民主党から政権を奪い返して2年後の14年に、交付金の算定方式を面積払いから数量払いに変えてから、交付単価の高さが目立つようになった。
いかに高くなったか。主食用米を作付けした場合と比べてみよう。
数量払いなら、飼料用米や米粉用米は10aあたり5万5000円から10万5000円、WCS稲は同8万円。これに集落規模で取り組んだ場合の産地交付金や耕畜連携対策の助成金が上乗せされることもある。満額で取得した場合は、交付金を含めた収入は10aあたり12万円になる。
主食用米を作付けした場合の収入は、ざっと12万5000円ほどになる。その計算根拠は、19年産の相対取引価格と統計部作成の農林水産統計による10aあたり収量を参考にすると、相対取引価格1俵(玄米60kg)あたり1万5727円、10aあたり収量は528kg。俵数にして8.8俵。農協へ出荷した場合、1俵約1500円の手数料・経費がかかる。その分を差し引くと右記の金額になる。
ここで不思議なことが起きる。この比較なら飼料用米や米粉用米は、主食用米に比べて収入面で不利になり、作付面積は増えないはずなのに、逆に新規需要米の作付けが増えていることだ。飼料用米を例にとると、数量払いに切り替わる直前の13年産は2万2000haの作付けだったが、19年産では7万3000haと3.3倍に増えたのだ。
その理由は実にシンプル。統計部公表の10aあたり収量が実態を反映していないことだ。とくに大規模生産者の場合は、面積が大きいが故に管理が行き届かず、単収が落ちる傾向がある。50とか60ha規模以上になると、19年産なら、平均して7俵前後だろう。その理由は、冒頭で紹介した佐賀の生産者のコメントに凝縮されている。
つまり新規需要米は、減反作物という側面と、気象変動がもたらした気象変動で主食用米が作付けできなくなった生産者に対する「救済作物」という側面も持ち始めたということである。それは新規需要米の中でも飼料用米だけが急激に増えているという事実が証明する。飼料米やWCS稲は、動物の飼料に使われるので、食味に頓着する必要がなく、ただ増収を図れば主食用米よりは収入になるという制度設計になっている。

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