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新・農業経営者ルポ

福島県浜通りの未来を切り拓く


「再生可能エネルギーの事業と関われば、ここで農業をベースとした再興ができると思った」
16年当初、企業連合が風力発電事業を始めるという話があった。広志は、風力発電事業と基盤整備を連動させようと考えて交渉してきた。しかし、企業連合は風が弱いという理由で撤退してしまう。
そこで次に目を付けたのが太陽光発電事業である。地権者や行政とも話し合いを重ね、ファンド会社に初期投資をしてもらって売電収入の一部を基盤整備の地権者負担分の資金に充てるということに決まった。今年4月、南相馬市井田川地区50?haで27?MWの設備で売電を始める予定だ。
こうして資金の目途がつき、21年から115haの基盤整備の工事が始まることになったのである。22年からは地権者たちに供与される。担い手は、みさき未来と広志個人、5人の集落のグループが担い手になる予定だ。
広志は、基盤整備の決定までを振り返って語った。
「ここには企業や行政などいろんな事業の話が入ってくる。それを拒絶するのではなく、どう折り合いをつけるか。自分たちで未来像を描いて、そこにどう当てはめるか。企業とも、この地域の農業にどれだけ貢献してもらえるか交渉することが大事だと思う」
基盤整備を機に、旧来の農業を一新する予定だ。効率よい作業ができるように1区画は2haにし、排水路を広げ、排水ポンプの能力を1.5倍に強化する。さらに復興庁の事業を活用し、最新型の農機を無料で借りて使用できることになっている。
「私たちは、ここはフロンティア(新天地)だと言っている。フロンティアをパラダイスにできる可能性がある。そのためにも最新技術を導入していけばいいと思う」

事実を見せて農業・農産物を発信する

震災直後、広志は放射性物質の影響が不安だった。当初、福島県ではサンプル検査をしていたが、安全宣言の後、基準値を超える放射性物質のコメが直売所で検出されてしまった。
「私たちの組合のコメも売れなくなった。とにかく全量全袋検査してほしいと県に言うと、翌年12年から全量全袋検査をすることになった」
しかし、全量全袋検査には反対の声もあった。何しろ浜通りは津波の被害で人手不足である。
「全量全袋検査をしてもすぐに買ってもらえるわけではないが、対策しながら何年間かデータが蓄積されたりすれば、自分たちが自信をもって売れるようになる。プライドを持って農業ができる仕組みをつくろう」

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