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【食の数だけ正義がある 明日も争いは終わらない】
有機から多農薬農家に転身した理由
- 関谷航太
- 第1回 2020年03月30日
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有機一筋20年から慣行に経営移行
信州は標高1000mの八ヶ岳高原に新規就農、20年近く多品目生産直売有機農業一筋であったが、2年前より全面的に慣行白菜市場出荷に経営移行した。
有機時代は全くの無農薬である。適切な施肥栽培管理はもちろんだが、適期作と冷涼な気候、何より消費者の理解が無農薬を可能にした。同じように地元の稲作農家も農薬といえば育苗時に殺虫剤農薬撒いて、田植え後に除草剤を1回撒くだけ、そこらで売られている特別栽培の減農薬米よりもよっぽど減農薬。酪農の飼料用モロコシは初期の除草剤1回散布のみ。牛は虫食いモロコシに文句は言わない。
慣行農家になった今でも5月出荷のレタスなどは有機時代と変わらず農薬不要だし、メインの白菜農薬散布も10月中旬で終了、11月下旬までは農薬を一切散布することなく市場に出荷し続ける。時期や作物、売り先次第では無農薬や大幅な減農薬は難しいことではない。
だが、現在の経営の柱である夏場の結球野菜の白菜栽培は人間が「寒いのは服着りゃいいけど、暑いのは無理」というのと一緒で、冬の果菜類栽培以上に自然の摂理に反した栽培。有機農家だった私は今では日本でもトップクラスに農薬を使う部類の農家になった。
安全な農薬を目指せば種類も散布回数も増える
在庫である農薬数で全種で40以上、夏場に限れば1作で使う農薬の種類は25種類になることも。1作の農薬散布回数は多いと12回ほど、夏場の圃場栽培日数は最短で50日まで短くなるので平均で4日に1回は撒くことになる。
白菜の総重量を夏場50日で割れば単純に毎日100g前後大きくなる。農薬を撒いた2日後には、ほうれん草1束分の無農薬部分が育つ。そこに産み付けられたコナガの卵は2日で羽化する。羽化した幼虫が結球内部に侵入すれば防除は効かなくなる。
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