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特集

農業リスクマネジメント~国境なき時代の新たなリスク対応~


2018年12月、丘のまちびえい活性化協会に勤めていた人が、大西氏ら4人の農業者を集め、あるアイデアを持ちかけた。マナーを守れという看板から、農業者のメリットにつながるような看板に変えようというのだ。
「この美しい景色のなかで育った作物をPRしようという話だった。畑作穀物は1次加工が必要なので直売が難しいが、観光客とつながれば、何かビジネスにつながるのではないかと思った」
これを機に、美瑛畑看板プロジェクトが始まった。大西氏の声かけで農業者のメンバーは10人になり、発案者のほか、クラウドファンディングなどのIT協力者、デザイナー、写真家などがプロジェクトに参加することになった。
「実際、観光客によって病気が持ち込まれるリスクは低いかもしれない。畑に入ってほしくないという理由は他にある。農家は作物がうまく育つように世話をしている。そのために長い年月をかけてつくり、守ってきた畑に誇りを持っているから入ってほしくないのだ」
その気持ちを観光客にどう伝えるか。話し合いを重ね、農家の思いを観光客に直接伝えながら、観光客にも楽しんでもらおうと、美しい景色をバッグに撮影できる場所に看板を立てることにした。プロジェクトメンバーがつくった看板には、美瑛の農地の長い歴史と農業者の思いをつづったメッセージと、農業者の名前や写真、サイトにリンクするQRコードを載せている。
「ここは農家の人が作物をつくっている現場なんだとわかってもらえれば自ずと畑に入らないだろうと考えた。畑を見ても、ただきれいな風景だと思うだけで、そのことに思い至らずに悪気なく入っていた人がいるのではないかと思う」
看板は、19年7月から農業者が協力して立て始め、これまでに4カ所に立てることができた。今年は2カ所追加する予定で、全部で6カ所になる予定だ。境界線がわかりにくいところには柵も立てている。

【看板が撮影スポットになり畑への立ち入りが激減】

農業者たちが木材を使って手づくりした看板や柵は、風景に溶け込むおしゃれな造りだ。プロジェクトのメンバーで写真家の中西敏貴氏(48)は、「ビジュアルは大事」と話す。
「看板はカフェ風のおしゃれで手造り感のあるものだ。看板に貼っているロゴやメッセージなどのデザインはプロにつくってもらった。また、多言語で載せると文字ばかりになってしまうので、デザインを優先して日本語だけにした」
すると、国内外の観光客を問わず、訪れる人々がみな看板の前で写真撮影をするようになった。看板自体が観光地の撮影スポットになったのである。すでに、インスタグラムなどのSNSに看板の写真が多数アップされている。美瑛に行ったらこの看板を探そうというSNSのコメントも増え、看板の前で撮影する観光スタイルが広まっている。

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