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特集

農業リスクマネジメント~国境なき時代の新たなリスク対応~


「最初に看板を立てた仲間の畑は、立ち入りが多くて困っていた。農地の入口の取付道路に車を停めて畑に入ってきていたそうだ。でも、公用地と畑の間に看板を立ててからは、看板を越えて畑に入ってくる人が目に見えて減ったと言っている」
看板に記したQRコードは、景色に感動したら景観保護のためにチップを払うシステムだ。収益が目的ではなく、畑をつくっている農業者にありがとうと言える機会をつくることが狙いだ。
「農業者がつくる畑がこの景色をつくっていると気づいてもらえたから、畑に入る人が減ったと思う」

【「ブラウマン」としての誇りを持つという意識変化へ】

看板をつくる資金はクラウドファンディングで集めた。「美瑛畑看板プロジェクト」は、そのときのプロジェクト名である。農業者と観光客とがよい関係を築きたいというメッセージは大きな反響を呼び、300万円以上が集まった。その資金は看板づくりのほか、ブランド展開にも活用することにした。
看板には「ブラウマンの空庭。」というロゴが記されている。これはプロジェクトメンバーが立ち上げたブランド名だ。大西氏はブラウマンという名が生まれた経緯をこう話す。
「美瑛の父の世代の人たちは、プラウのことをブラウとかブラオと呼ぶ。ドイツでは農夫のことをプラウマン(耕す人)と呼ぶそうだ。それなら、美瑛では農家をブラウマンと呼ぶことにしようということになった」
これまで写真家として「かっこいい農業、かっこいい農家」を伝えてきた中西氏は、農業をかっこいいと思ってもらえることで観光客の間にリスペクトが生まれマナーが改善すると大西氏らに話してきた。ブラウマンはかっこよさを表現する農業者の新しい呼び名だ。
大西氏は、今回のプロジェクトを通じて意識が変わったという。
「起伏がある美瑛の農地は平場よりハンデがある。でも、その起伏が美しい景観をつくるひとつの要因であり、そこで作物をつくる技術がある自分たちに誇りを持てた」
いまだ道路で急に車を停めたり三脚を立てたりする人もいて、大型トラクターの移動中に危険を伴うなど、問題は残っている。
「クラウドファンディングのコメントから、美瑛を思う観光客がいると気づいた。そういう人たちと交流を深めてコアファンになってもらえれば、『知り合いの畑だからやめて』と味方してくれると思う」
大西氏らの観光客との誇りを持ったコミュニケーションは、将来もよい関係を築くリスクマネジメントのあり方を示してくれた。

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