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齊藤義崇の令和の乾田直播レポート

雪国直播サミット編~雪国の乾直人の熱意で雪を融かし、いざ春を迎えるイベント~


実践者として二人目に登壇したのは、当別町の稲村英樹氏。とにかくユニークなキャラの持ち主で、北海道の農業人としても知られた存在である。まず彼が紹介したのは、乾田直播を通じての出会いだ。北海道の乾直人とは、プライベートでもスキーや会食を楽しんでおり、いつ休んでいるのか、肝臓は大丈夫かなど、私も大学の後輩を心配するほどである。彼の米づくりへの思いや工夫は、半端ではない。北海道米のエース品種「ゆめぴりか」の食味を競う大会では常連の上位入賞者で、直播においてもさまざまな播種方法を試すなど、栽培方法の研究に余念がない。昨年は品種「大地の星」で坪刈単収831kg/10a(実収602kg/10a、1.9 mm篩上)というまずまずの収量に満足した様子だった。冗談を交えながら、栽培の要点や今後の課題、会場に向けてのメッセージを多く伝えてくれた。

米国アーカンソー州の稲作にヒントを探る

午後の部の中間部は、農研機構東北農業研究センターの2名の研究者が講師を務めてくれた。笹原和哉氏は過去に開催したサミットにも招待して解説員を依頼したことのある、世界的な直播栽培を研究するエキスパートだ。もう一人の赤坂舞子氏は、雑草や作物の専門家である。
笹原氏は、米国アーカンソー州の稲作の概要を日本の稲作と比較して、大豆とトウモロコシとの輪作体系を紹介してくれた。均平・整地、防除収穫作業の写真を交えて、専門的な角度から今後の直播栽培の展望まで、丁寧な情報提供だった。また、赤坂氏は、アーカンソー州の乾田直播の防除体系を含む栽培暦を紹介してくれたが、作物生理のおさらいができたように思う。北海道や東北など雪国での直播では、ジベレリン処理等の成長促進剤などの利用は新技術になりうるかもしれない。

恒例の商談会は大盛況道外参加者も登壇

雪国直播サミットという企画が10年以上も継続してこられた背景には、農業者をサポートしてくれる面々の存在を語らずにはいられない。挑戦する際にはデモ機などで温かくサポートしてくれたり、農薬や肥料など新しい資材を提供してくれたり、乾直人に寄り添ってくれる彼らと共に技術を積み上げてきたといっても過言ではないと思う。本サミットでは講演・報告と情報交換会の間に、「乾直百貨店」と称した商談会が恒例となっている。今年は、農業資材、農業機械メーカー等の17社が参戦した。それぞれPRタイムを終えると、参加者らは自由に商談・雑談を開始した。出店する側も毎年工夫を凝らし、参加者らを飽きさせない展示と商談・相談が行なわれていた。私も「乾直萬相談所」の相談員としてブースを構え、参加者らとの交流を楽しませていただいた。

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