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特集

激震!新型コロナウイルス 農産物緊急レポート

新型コロナウイルスの影響は、農産物の生産現場と市場流通にも及ぶ。生産現場では外国人技能実習生が来日できないことによる労働力不足の問題が浮上した。また、自粛生活による食の需要が変わるなか、市場は不測の事態に混乱している。時々刻々と変わる状況を農業ジャーナリストたちがレポート。なお、各記事はおおむね3月末時点までの情勢に基づいている。(コーディネート/平井ゆか)

コロナ・パニックで実習生来日できず―作付け縮小で農産物価格値上がりも/土門 剛

本格的な農作業シーズンに突入したのに外国人技能実習生の来日が滞っている。新型コロナウイルス感染症問題が原因。ビザの発給遅れや、ビザを取得しても航空便の運休などで来日ができなくなっているからだ。助っ人不在という事態に産地は大混乱。当座は家族労働で急場を凌ぐことができても、作業ピーク時には完全にお手上げ。最悪の場合、人手不足で作付け縮小に追い込まれる。そうなれば農産物価格にも大きな影響を与えそうだ。

【長野県では実習生が500人来日せず】

国内産レタスの3割を産出する長野県川上村の生産者に、技能実習生の受け入れ団体から「技能実習生の来日が難しい」という一報が舞い込んできたのは、2月中旬。そろそろ春作業の準備を始める頃だった。技能実習生の助けがないと産地は大変。同25日、村は受け入れ団体を集めて情報交換した。
「春作業の本格シーズンが始まろうとしているのに、ことしは例年の6割ぐらいしか彼らの姿を見ませんね。技能実習生の到着が遅れているからです。契約では3月下旬から4月上旬に村にやってくる予定でした。気温が高めなことしの作業は前倒し。早いところでは播種を4月上旬に始める生産者もあるようです。頼みにしていた技能実習生が不在なので、急遽、家族がピンチヒッター役です。当座はいいとしても本格的な作業シーズンに入ったら、どの生産者もお手上げです」(産業建設課農林係)
川上村で受け入れている技能実習生は約1000人。送り出し国は中国とベトナムなど。内訳は長期(3年間)が700人、短期(6~7カ月)は300人。長期は通年通してハウスでのイチゴ栽培、短期は4月初めから10月いっぱいにかけてレタス栽培の生産者・生産者組織が引き受ける。来日が滞っているのは、このタイミングで来日する短期組だ。
長野県議会でも問題になった。2月27日、一般質問で取り上げられ、答弁に立った山本智章農政部長は、農業分野での技能実習生は県全体で約500人が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で県内の研修(実習)先に派遣できない状況になっていると明らかにした。
ビザの発給遅れや航空券が取れないことなどが理由だが、山本部長は、高原野菜の収穫のピーク時に入る5月中旬までに技能実習生が入国できれば影響はないとしつつ、それよりも入国が遅れる場合には生産現場で人手不足に陥る可能性があると指摘した。

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