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さらに技能実習生が来日しなかった場合の対応策を問われた山本部長は、「技能実習生の入国がさらに遅れる場合には、農協グループなどと協力して農業労働力の確保に努め、生産に極力影響が出ないように対応する」と答弁。労働力確保の具体策を示せず、お手上げ状態を露呈したようなものである。
【実習生が支える川上村レタス】
技能実習生は、安上がりな労働力の供給源と思われがちだが、それは認識不足。この際、制度目的をよく理解しておくことだ。法務省と厚生労働省の所管で「我が国で開発され培われた技能、技術等の開発途上国等への移転を図り、その開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」が目的なのだ。
川上村でのレタス栽培は、3月中旬ぐらいから農作業の準備を始める。技能実習生をすぐ実習現場の畑にということにはならない。座学が必須条件となっているのだ。運転免許取得で学科と実技の試験があるように、座学は学科、実習は実技とイメージすればよい。その座学は、日本語、日本における生活一般知識、入国管理法や労働基準法などを学ぶ。期間は約1カ月。
その座学を終えると作業現場に入って本来目的の実習が始まる。ことしの川上村は、暖冬だったので例年より1週間ほど早まって4月初旬になった。3月中には準備作業として畑へ肥料を運んでおく。それが終われば、播種、マルチ掛け、苗の植え付けという本格作業に移る。いずれも技能実習生の助っ人がないと作業は前に進まない。
レタスのような露地野菜は、いまだ人力に頼る超アナログ的作業がメイン。例えば、苗の植え付け。技能実習生は、指導役の生産者について技術を教わる。苗を植え付ける深度、覆土の強さなど、単純労働のように見えるが、立派な技能実習だ。スマート農業など無縁の世界なのだ。
川上村のレタス栽培は、昔は年1回の収穫だった。温暖化が進んだのでいまは年二毛作が平均的。中には三毛作に挑戦する生産者もいる。その二毛作で猫の手も借りたいぐらい忙しくなるのは、植え付けと収穫がダブルで進行する5月下旬から9月上旬にかけての3カ月半。
この間、生産現場で作業の手が休まるのは昼の休憩時間(2時間)と睡眠時間だけ。照明をつけての収穫は深夜2時頃から始まる。収穫作業を終えると、今度は二毛作目の植え付け作業に取りかかる。技能実習生がいなければ川上村のレタス栽培は成り立たないのだ。
【JA職員では作業代打役にならず】
川上村役場でも、技能実習生の来日が実現しない場合の対応策の検討に入った。技能実習生の融通、残業時間の延長、実習回数を2回に増やして事実上の延長を図ることなどだ。いずれも技能実習制度の本旨に背くものであり、なおかつ法規制に違背するものでもあり実現の難易度は高い。
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