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非常事態が長期化すれば、内食で買われる野菜も根菜や果菜などで日持ちのするものが中心で、葉菜は弱いことが予想される。
また、前段のロック・フィールドの動きからもう一つ感じられるのは、サラダが忌避されているのかもしれないということだ。WHOなど国際機関や日本の衛生を所管する当局も、食品からの感染事例はないと説明しているが、非加熱の食品に対する漠然とした不安感が市場にはありそうだ。その点からも、葉菜や生食向きの野菜は難しさをはらむことになるかもしれない。
【今後起こり得ること(1)テイクアウト新規参入で食中毒頻発の懸念】
現在、外食業界では、大手から中小・零細まで、にわかにテイクアウト商品に注力している。しかし、マクドナルドを代表とするファストフードのように創業時からテイクアウトを前提とした商品開発を行なってきたところと、基本的にイートイン、テーブルサービスを中心に事業展開してきたレストラン企業とでは、フィロソフィーとノウハウが全く異なる点に注意する必要がある。
一般消費者および彼らと同レベルの知識しかない外食経営者・従業員は、店内提供している料理を容器包装に盛り込んで持ち帰らせるのがテイクアウトとしか考えていないケースが散見される。しかし、テイクアウトに強い会社や、弁当そうざいを扱い慣れている会社の場合は、お客が商品を持ち帰った場合、さらに即食せずに時間が経って食べた場合、何が起こるかを予め想定し、食中毒を起こさないための必要な仕掛けを持っているものだ。
たとえば、異なる材料、異なる調理の食品をバランやカップ等で仕切ることで交差汚染を防ぐ、温かいものと冷たいものを一緒にして結露を起こすことがないように用心する、などのことは基本中の基本だが、3月以降「テイクアウト始めました」とするWebやチラシを見ると、このあたりを全く考えていない商品の写真がけっこう多い。
このままいった場合、これから気温が上昇するにつれて食中毒事故が頻発することになるのではないかと予想している。もしそうなった場合、テイクアウトと弁当そうざいに活路を見出そうとする外食業界の取り組みと努力が一気に水泡に帰すことになりかねない。原材料供給者としては、少なくともそうしたリスクのある事業者には巻き込まれないようにしたいものだ。
なお、仕出しの経験の長い企業がとくに用心深く避けている食材がある。それは、粘りのあるもの、糸を引く食材だ。具体的にはサトイモ、オクラあたりで、モロヘイヤなどもそれに当たるだろう。なぜかというと、これらの糸が、食材本来のものか、傷んだことによるものか見分けがつかないからだ。中食向け需要を狙うのであれば、糸を引かない作物に集中したほうがいいだろう。
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