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【今後起こり得ること(2)農業者のCVS向け出荷は可能か】
前段で、CVSが強みを発揮すると書いたが、CVSと新規に取引することは可能だろうか。まず最初に考えておかなければならないのは、店舗数の規模が外食チェーンと桁違いに異なるということだ。主要なCVSの店舗数は、セブンイレブン約2万1000店、ファミリーマート約1万7000店、ローソン約1万5000店である。外食チェーンは数十店から数百店ということが多いが、商業の次元が異なるということをまず押さえておきたい。
たとえば、2万店の店に、同じアイテムは1日1店当たり5点そろえたいということになれば、日産10万点を製造しなければならないということだ。この規模の生産と物流が維持できるものだけが、CVSの店頭に並ぶ。となれば、日本の農業者1社だけで対応できるというケースは少ないだろう。同じ作物に取り組む農業者同士で連合するか、CVSからそのワンオブゼムとして扱われるかで考えなければならないだろう。
あるいは、トッピングや味付けに少量使用するなどのものであれば、採用の可能性はあるだろう。
また、ファミリーマートやローソンなどでよく見られるが、CVSも全品が全国対応とは限らず、地域限定商品の展開も行なっている。そうした商品展開には、生産量に限界がある場合も付き合ってもらえる可能性はある。とくに、産地や生産法などで何らかの特徴を訴求できる作物があれば、CVSとの付き合いも夢ではないだろう。
そして、同じ商品を全国展開するのでも、地域ごとに別なベンダー(CVSと契約した食品製造業者)が製造を担当し、材料によってはそのベンダーが地域で独自に食材調達を行なっているケースもある。
とはいえ、いずれにせよCVSは外食チェーン以上に工業化された商品を志向する世界であるため、次の2点には十分注意して取りかかる必要がある。一つは欠品が許されないこと。いま一つは、農場自体がHACCPの体系に組み込まれるという前提だ。農場自体がHACCPに準拠している、GAP認証を受けているなどが要求されるだろう。
なお、コロナ禍とは別に、CVSの中食は今後冷凍食品化を強めていくと考えられる。食品ロスと、それに関連した加盟店圧迫が批判され、また持続可能な開発目標(SDGs)への対応が株主対策としても必要になってきているからだ。
その点、CVS対策としては冷凍耐性のよい食材の供給も頭に入れておきたい。もちろん、この場合もHACCPが前提となり、しかもSDGsの17項には人権や環境も含まれるので、GAP取得は将来的なCVS対策として有効と言えるだろう。
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