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特集

激震!新型コロナウイルス 農産物緊急レポート


しかし日本の場合は、輸入制限措置を取らなかったにも関わらず、輸入量が激減した。2月上旬に中国ではコロナウイルスの感染を食い止めるため、省によっては緊急通知を出した。そのため加工場や卸売市場の操業が難しくなったり、移動規制により従業員がそこまで到着できなかったりで、サプライチェーンに停滞が生じた。
また海運業界では、船で到着した乗組員や貨物のスクリーニングが必要で、例えば通常は到着から出発までの往復に3日程度かかる国が、現在は10日以上かかって、そのことが物流の遅延や運賃の高騰に影響を与えている。航空貨物についても入国規制で航空便が減便し貨物スペースが縮小している。
このようにコロナウイルスによる人と物の流れの停滞が輸入減少につながっていると言えるが、作物によっては暖冬による国内での供給が十分であることや、相手国の生産状況なども影響している。
2月中旬の著しい輸入量の減少からは脱したものの、まだ平年通りとはいっていない。しかし今年は国内産が豊作傾向にあるため、生鮮野菜が極端に不足することは考えにくい。

【都市封鎖ヨーロッパでは何が起きている?】

日本における生鮮野菜の輸入状況を見てきたが、視点を転じて、都市封鎖などさらに強い政策を選択しているヨーロッパで起こっている現象を参考までに紹介したい。

■スーパーマーケットの棚出しが追いつかない
2月以降コロナウイルスが感染拡大したヨーロッパでは、都市封鎖措置が実施される国が増え、食生活にも変化が見られる。オランダに関しては、都市封鎖措置が発表された3月第2週に、スーパーマーケットで食料品の買い占めが起こり、スーパーマーケットの売上が前年同週より35%増加した。主に日持ちがする缶詰、冷凍野菜、コメ、パスタが増加し、野菜に関しては、ショウガやニンニクなどコロナウイルスに効果があると噂が流れたものや、タマネギ、キャベツ、リンゴ、ジャガイモなど比較的日持ちがするものが一時期スーパーの棚から消えた。ベルギー、ドイツ、オーストリア、スイス、イギリス、フランスなどでも同様の現象が起きている。
オランダのスーパーマーケットの業界団体であるオランダ食品小売協会(CBL)は、食料品は十分に在庫があるが、外食産業が営業していないことにより、小売店での購入量が増えたことで棚出しが追いついていない状況があることを公表している。
その対策として、トラックが小売店に商品を納入する時間帯の延長や、ドライバーの最大運転時間が1日9時間から11時間に延長され、スーパーの棚を満たすことに注力している。また業務用の卸売セルフサービスのマーケットが、一般顧客用に販売を行なうなどして対策を取っている。

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