ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

特集

激震!新型コロナウイルス 農産物緊急レポート



■移動規制による労働力不足
外国人労働力が必要不可欠なヨーロッパの農業現場では、東ヨーロッパや北アフリカなどからの季節労働者が不足している。特に選果選別作業や、収穫作業に多くの人の手がかかり、近距離で作業が必要な作物に打撃を与えている。農作業はもちろんのこと、物流人材の不足や、スーパーマーケットなど小売店でも外国人労働者が不足している。モロッコもヨーロッパとの国境を閉鎖したため、スペインでも農業労働力の65%が不足している。
その対策として、EU域内の季節労働者に対して国境を開放したり、入国規制を緩和したりして対応を急いでいる。さらにEUの法令における国家援助として、生産者に最大10万ユーロ、加工会社やマーケティング会社に最大80万ユーロが、農業部門への国家支援に上乗せされる。
ちなみに季節労働者の3分の2が外国人労働者であるフランスの農業部門では、今後3カ月で約20万人の労働者不足が予想されている。フランスの農業大臣は、美容師・ホテルの受付など現在専門的な仕事ができない労働者に、野菜や果物の収穫作業を助けるよう呼び掛けた。

■停滞する物の移動
EU域内は、人と物の移動が自由であるため、他国への輸入であっても、日本で言えば県境を越える感覚でビジネスができていた。しかしコロナウイルス感染拡大による国境閉鎖で、その当たり前が崩れている。陸路での移動に時間がかかり、農産物到着の遅延が起こる。これらの対策として、3月末にEUは国境が封鎖されている状況であっても、EUやその周辺諸国に関しては生鮮食品を含めて物を迅速に移動できる「グリーンレーン」を設けた。
またヨーロッパへインゲン豆とエンドウなどをはじめ多くの農産物をヨーロッパに輸出しているアフリカ諸国からの物流が滞っている。そのため混乱したサプライチェーンにおいて少しでも早く簡便に検疫手続きを実施し、野菜を十分に入手できるよう規制緩和を含めてさまざまな策を講じている。

■都市封鎖の副作用
ヨーロッパではコロナウイルスの感染が爆発的に拡大し、それを食い止めるために都市や国境を封鎖して、ソーシャルディスタンシング(物理的に人との距離を取る対策)を早い段階で採用している。しかしこれにはもちろん「労働力や物の流動を止めてしまう」という副作用もある。これにより起こった問題に対して、比較的早く対策を講じているため、今後もし日本が副作用を伴う思い切った政策を取る場合の参考になればと思う。

関連記事

powered by weblio