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【コメ売り場から精米消える 『首都圏封鎖』に反応】
3月末になると再びコメ売り場から精米がなくなるという騒ぎが起きた。原因は3月25日の夜、東京都知事が記者会見、危機感を示し、週末の外出を控えるよう要請したことと「首都圏封鎖」という言葉が出てきたからである。
翌朝午前中には米穀業者から「スーパーに消費者が大勢並んでいる」という情報が寄せられた。急いで大手スーパーに行ってみると、コメ売り場の棚には1袋も精米が残っていない。別の大手スーパーの店舗に行ってみると、定番の新潟コシヒカリやあきたこまちなどの商品はなかったが、代わりに今まであまり見かけなかった産地の新品種が置かれていた。低価格販売で知られている食品スーパーに行ってみると「あきだわら」といった多収穫品種の精米が置かれていた。
農水省や全農、米卸団体の全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)といった組織が、最初にスーパーから精米がなくなったとき「コメは十分な在庫があります。買いだめする必要はありません」というお知らせを発したものの、再び同じことが起きた。
冒頭でスーパーのコメ売り場から精米がなくなってしまったことが過去2回あったと記したが、騒ぎが収まって通常通りコメが並び始めたときは2回とも同じ現象が起きた。それは消費者がコメを買いだめしたことで家庭内在庫が膨らみ、しばらくコメが売れなくなってしまったということ。それだけなら良いのだが、もっと高い代償を支払わなくてはいけなくなった。
年次別の1人当たりコメ消費減少量は、平成2~6年度が0.8kg/年、平成7~11年度が0.5kg/年、平成12~16年度が0.6kg/年、平成17~21年度が0.6kg/年、平成22~26年度が0.8kg/年となっている。平成6年はコメの価格が高騰したこともあって一気に2kgも落ち込んだ。反動というにはあまりにも大きな代償を支払ったことになる。
今回の新型コロナウイルスの影響はいつ終息するのか先が見えない分、さらにはその影響の範囲がどこまで及ぶのか見渡せないこともあって過去2回の凶作や自然災害とは違った要因が働いており、問題を一層複雑にしている。実際、過去2回のコメ不足では市中で取引される玄米の価格が高騰したが、今回は予想に反して下落したのである。この要因を解説するには新型コロナウイルスが流行する前のコメの需給状況に触れる必要がある。
【コメの一人負け状態 消費税値上げによる消費減】
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