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特集

激震!新型コロナウイルス 農産物緊急レポート



次ページの表はコメ卸団体の全米販が作成したコメの需給見通しで、国は当該年の7月から翌年の6月までを米穀年度と定めているが、全米販は従来通りの当該年11月から翌年10月までを米穀年度としている。新米に切り替わる時期の11月を米穀年度の始まりとした方が馴染みがあるので、これを基に概要を示しておこう。
元年産は作況指数が100を下回り99となった。新潟県で1等米比率が大幅に落ち込むなど全国的に高温障害が多発、品位が落ち込んだ。そのため供給面で不安があり、5年連続して米価が値上がりするのではないかという見方もあった。
ところが実際には年明け以降、市中で取引される玄米価格は総じて軟化、高値になっていた新潟コシヒカリも2月に入って先物市場で連続してストップ安になるなど大きく値崩れした。
供給面から見ると緩むはずのない需給が緩み、市中価格が大きく値下がりした最大の要因は「コメの消費減」にある。このことは農水省が食糧部会で示した需給見通しで、これまで年間の需要減は8万tとしていたものを10万tにまで増やしたことにも表れている。10万tという数量はちょうど岐阜県1県で生産するコメの量がなくなってしまうことを意味しており、10年間では100万tになり、北海道や新潟の生産量も消し飛んでしまうぐらいの大きな数量である。
それに追い打ちをかけたのが総務省の家計調査のデータで、消費税が値上げされた昨年10月、11月の1世帯当たりのコメの購入量は前年同月に比べ2カ月連続して10%以上落ち込んだ。
食品であるコメは消費税軽減税率の対象品目だが、消費税がアップするとコメの消費量がさらに減少するという懸念は以前からあった。コメの購買層は所得の低い世帯の比率が高く、消費税がアップするとこれらの層はますます可処分所得が減少、コメの購入量を減らすのではないかと見られていたが、まさにその通りになった。
米穀機構情報部はそのことについて以下のように指摘していた。
「直近10年の可処分所得等の推移を追うと、10年間で実収入が1万352円減少し、非消費支出(税金、社会保険料など)は9330円増加、可処分所得は1万9682円減少している。消費増税は消費者の節約志向を更に強めるものと推察され、米の購入・消費にも大きく影響するものと考えられる」
厚労省の国民生活基礎調査によると100万~200万円未満の世帯は12.3%、200万~300万円未満が13.3%、300万~400万円未満が13.8%で、これらの世帯は全世帯数の4割を占めているのである。

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