ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第16回 水田地帯に大規模なブドウ畑 消費者志向で生産性を追求(株)アルプス(長野県塩尻市)


これだけ大規模に日本ワインを造ると、経営戦略上の最大の課題は原料ブドウの調達であろう。アルプスのブドウ使用量は約1200tであるが、自社畑(47ha)から350t、県内の契約栽培農家(390軒)から900t調達している。(契約栽培は従来品種、自社畑は欧州系品種という分担)。
自社畑を見に行くと、水田地帯に広々としたヴィンヤードが広がっている。作業効率が高いだろうなと、誰でも思うようなブドウ畑だ。この自社畑の開発は2008年である。これを契機に、アルプスはワインメーカーとしての地歩を固めていった。
アルプスは1927年(昭和2年)、アルプス葡萄酒醸造所として創業した。業界では老舗である。矢ヶ崎学社長(1963年生)は5代目である(社長就任は2013年)。
同社はワインから始まっているが、2000年代初めまではジュース生産で潤っていた。時代の変化をとらえ、ジュースメーカーからワインメーカーへの転換が、新しい発展の礎をつくったといえよう。矢ヶ崎社長の発想が「突き抜けている」という印象を持ったのは、50歳で社長就任した若々しさもあるのかもしれない。
従業員数95名。塩尻の地を守るため、消費者志向こそビジネスの根本という哲学のもと、経営発展を追求する企業家である。JR塩尻駅の上にアルプスワインの看板広告が目立つ(写真参照)。「公共」の建物を独占している。「アイ・ラブ 塩尻」か「塩尻は俺のもの」か。気になる存在である。

2 平地大規模ヴィンヤードのメリット―農園の機械化で4割省力化

塩尻市桔梗ヶ原の西側の裾を奈良井川が流れ、川の左岸の水田地帯(今は畑作)に広々としたブドウ畑が広がっている。この一帯がアルプスの自社畑である。本社工場(醸造場)から車で約10分の距離である。
山梨勝沼とは光景が違う。2ha区画の大型圃場が並び、しかも平坦地であり、作業効率の高さを想わせる。アルプスはここに30haのブドウ畑を持っている。そのほか、西側の段丘に10ha、東山に7ha、合計47haの自社畑を持っている。

■ブドウの生育に適したテロワール
この桔梗ヶ原~太田地区は、良質のブドウが穫れる。雨はブドウ栽培の大敵であるが、ここは降雨量が少ない。生育期間4~10月の平均降水量(月平均)は118mm(松本今井観測所)で、全国平均(東京166mm)に比べ大幅に少ない。山梨県勝沼121mmよりも少ない。(表2参照)。

関連記事

powered by weblio