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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第16回 水田地帯に大規模なブドウ畑 消費者志向で生産性を追求(株)アルプス(長野県塩尻市)


日照時間が長く、ブドウの糖度や酸度が高まり、美味しいブドウが穫れる。4~10月の日照時間(月平均)は179時間もあり、これも東京の148時間に比べ大幅に長い。勝沼174時間よりも長い。
収穫期は昼夜の温度差が大きい。朝晩冷え込む気温低下で糖度が高まり、ブドウの着色も良くなる。また十分な酸味も残る。夜間の気温が低下すると植物の呼吸量が少なく昼間蓄積した糖度の消耗が少なくなるからだ。収穫期9~10月の昼夜寒暖差(平均)は10.3℃に達し、東京の7.2℃より大きい(勝沼10.1℃)。このように、桔梗ヶ原の気象条件は、ワイン用ブドウにふさわしい生育が可能になる。内陸性気候の長野県の有利な点だ。
また、土壌の条件が良い。桔梗ヶ原一帯は火山灰の土壌であるが、小石混じりの礫層に火山灰が堆積しているため地下水位が低く、水はけが良好である。アルプスの自社畑は奈良井川の河川敷であり、水田時代の粘土質の心土を破砕すると、その下は大きな石がゴロゴロした土地で、水はけが良い土壌だ。このように、この地はブドウ栽培に適したテロワール(気象や土壌などの自然条件)である。

■耕作放棄地を活用して大型圃場を整備
アルプスのワインは、従来、甘口ワインで、ブドウ品種はコンコードやナイヤガラで、契約栽培農家からブドウを購入していた。しかし、消費者の嗜好が変わり、欧州系ブドウ品種が必要になってきたことと、生産農家の減少でブドウ供給の限界が懸念されてきたので、2008年、農業生産法人アルプスファームを設立し、自社畑を持つことにした。
ちょうどその頃、水田地帯で後継者難による離農が増え、耕作放棄地が発生していた。そこを購入し、分散作圃の状態だった圃場を統合し、2ha区画の大型圃場に整備した。元はキャベツやレタス畑と水田が半々の地区で、区画の大きさもバラバラの耕作放棄地を大規模なブドウ畑に転換したのである。圃場区画が大きいので、作業効率が高く、規模の利益も大きい。
この自社農園には、白はシャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、ピノブラン、赤はメルロー、カベルネソーヴィニヨン、カベルネフラン、ツバイゲルトレーベ、シラーなど、欧州系品種が植えられている。日本品種のブラッククイーンもある。
自社畑の開発が、同社の経営発展を画したのではないか。ジュース屋から大規模ワイナリーへの転換である。以前のワインはコンコードやナイヤガラなど日本品種が主体であり、契約栽培農家から調達していたが、自社農園の創設で欧州系品種が加わり、ワインメーカーとしての地歩が固まった。塩尻地区は古くから米国系日本品種の比重が大きく、全国平均から見ても欧州系品種の導入が遅れているが、ここで世界で好かれ伸びている欧州系にキャッチアップした。

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