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土門「辛」聞

「役人主導型農政から脱却せよ」

 Kさんの話が出たついでにFさんのことにも触れておきたい。変な奇縁でFさんが役をしている会の講演会にこの春呼ばれた。口では負けぬが、力と男っぷりにはかなわないFさんだ。会場でわかったことだが、勧進元はFさんで、講演の冒頭から波乱続きだった。まず筆者を紹介するに及んで、いきなり「F農場は潰れる、潰れるとあちこちで放言している評論家です」と不意に股ぐらを蹴り上げられたかのようなご挨拶。その日は、懇親会もセットされていた。

 講演では、集落営農と減反と毎度おなじみの話をご披露したが、話の途中でFさんが「来年から減反が選択制になるとは聞いてない」と突然大ブレーキ。しばし何事かなといぶかったが、ほどなくワケが分かった。100ha近い田圃を集めているFさんにすれば、減反方針が変わり作付け自由となれば、田圃を集めにくくなる。地主の農家が、作付け自由なら作った方が得とソロバンをはじくに違いない。それはFさんにとって由々しき問題となる。それで「聞いてない」と反発してきたようである。

 風の噂に聞くと、Fさんは筆者の話を聞いて決断したのかどうかは分からないが、2007年産から経営方針の大変更に踏み切ったという。減反は、土とマーケットをみて判断されるのであろう。もともとは実力のあるFさんのことだ。集落営農マンセーや減反マンセーの役人と一線を画し、土とマーケットで経営に当たれば、S県の模範的農業経営者になれると確信している。

 コシBLマンセーの新潟県役人はどうやら「本日も反省せず」のようだ。それを許している新潟県の県民性はいったいなんだろうか。知人の新潟県人に聞けば、「辛抱強さ、健気さかな。人柄はいいが、積極性に欠け、安定志向が高い」と教えてくれた。マーケットと土を見ず、アホな役人の顔色ばかりをうかがっていたら、新潟県だけでなく全国の農業関係者はいずれこんな替え歌(オリジナル曲は美空ひばり「越後獅子」)を口ずさむようになるかもしれませぬぞ。


「越後獅子」

県に脅かされて BLにすれば底が見えます 新潟コシの

わたぁしゃ孤児(みなしご)街道ぐらし落ちて落ちての 新潟コシ

今日も今日とて 役人さんに

腕が下手だと 叱られて

補助金でぶたれて 値段見れば

後ろにいるよな 会津コシ

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