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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

イギリス(2) 低炭素住宅「ヘンプハウス」の普及に向けた先駆的な取り組み

欧米に展開広がるヘンプハウス

1993年に欧州で初めてヘンプの栽培を解禁したイギリス。その当初から課題に挙げられたのは、繊維を採った後に大量に発生するオガラ(麻幹)の有効活用だった。ヘンプの茎のうち、繊維が採れる靭皮部は約3割で、残りの7割はオガラが採れる木質部で構成されるからだ。
この課題解決に当たった一人が、アイルランド人のスティーブ・アレン氏である。97年にこの分野に参入し、フランスの古民家の修復材の一部で使われ始めていた「ヘンプクリート」に注目した。ヘンプクリートとは、「ヘンプ」と「コンクリート」を組み合わせた造語で、ヘンプ由来のオガラと石灰、水を混合したモルタル建材の一種だ。アレン氏はフランス産の水硬性石灰に、オガラを長さ1~3cmのチップ状に粉砕して用いた。既存の住宅用素材よりも軽くて、ヘンプ素材を使うことで高断熱性、吸音性、蓄熱性、調湿性、意匠性、耐火性、耐害虫性、低環境負荷性に優れた快適な家となる。これらの機能は、ヘンプのオガラが細かい穴を有する多孔質であることによる。ヘンプクリートは、木造や鉄骨造のどちらの住宅にも壁材、屋根、天井裏、床材、間仕切り、左官材のあらゆるところで利用できる。
ヘンプクリートを用いた「ヘンプハウス」を欧州各地で建築したアレン氏は、その経験をもとに05年に世界で初めてのヘンプハウスの建築法を詳しく解説したカラー本『Hemp with Building』を出版した。同書は12年に第二版が発売された(図1)。

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