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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

イギリス(2) 低炭素住宅「ヘンプハウス」の普及に向けた先駆的な取り組み


そこで、環境・食糧・農村地域省(Defra)が注目したのが、バイオマス作物だ。なかでも、生育に何十年もかかる木材ではなく、ヤナギ、ススキ、ヘンプのような短期間で生育する非食料作物に焦点が当てられた。同省から助成を受けた政府系研究機関の国立非食料作物センター(NNFCC)は、08年にヘンプクリートの研究レポートを発行した。世界に先駆けて義務化を図った「ゼロ・カーボン住宅」の対象として、建材分野で実践例のあったヘンプクリートが研究対象となったのである。建築家、工務店、建材会社などにインタビューを行ない、建築工学、ライフサイクルアセスメント(LCA)などの専門家チームを編成し、仕様および熱性能などの問題を検討した。
こうした評価・検討に基づき、イギリス政府は09~10年に283棟の低炭素住宅の建設を支援し、ヘンプハウスもその一部で7万5000ポンド(約1000万円)の支援を受けた。低炭素住宅は二酸化炭素削減比により5段階にレベル分けされ(表1)、支援を受けてレベル4のヘンプハウスを施工したのがBRE社である。同社は、1928年創業の政府系の住宅研究開発会社で、01年にイングランド東部のへーバリルの町に社会住宅開発の一環として建てられた18棟のうち2棟を実験的にヘンプハウスとした。同社によれば、ヘンプクリートを使うと従来のレンガブロックの家よりも暖房費を抑えられ、居住者は最大30%のエネルギー消費コストを削減できることが明らかになった。
イギリスは低炭素住宅の推進・普及を政策に掲げ、民間と政府がそれぞれヘンプハウスのさらなる研究を先駆的に行なっている。

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