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【土門「辛」聞】
新型コロナウイルス感染爆発 政府の危機管理能力が招いた災禍
- 土門剛
- 第188回 2020年04月27日
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五輪延期決定後に感染者が激増
小中学校の全国一斉休校が決まった2月末の時点で、桜の咲く頃には事態は落ち着いていると思われていた。懸案の東京五輪の開催にメドがつくものと思っていたが、3月24日に延期が決定。それと軌を一にしたかのように、開催予定地の首都・東京で感染者数が激増している。
その3日後には、東京都の小池百合子知事が、突然「緊急事態宣言」発動が「ギリギリのところにある」と発言して世間を驚かせる。実際、その週末の土日(28日と29日)には、ロックアウト(都市封鎖)の予行演習と思わせる隣接県を巻き込んでの外出自粛要請の事態に陥る。
3月28日付け毎日新聞は、「五輪延期が決まった途端に感染者数が急増している」「今まで検査せずに隠蔽してきたのではないか」と疑問を呈す。その通りかどうか確かめてみよう。
手がかりは感染者数と検査実施人数。東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」には、日別のデータが掲載されている(都は感染確認者数を陽性者数と表記)。
1月24日が統計の起点なのは都内で最初の感染者が確認されたからだ。検査は患者の咽頭からぬぐった液や痰を遺伝子増幅法でウイルスの有無を判定するPCR検査で行なわれる。
まず感染確認者数を追ってみよう。日別で2月14日までは0~2名。初めて2桁台になるのは3月14日。そこから月末にかけて急に増えていく。五輪延期表明が3月24日。その前日から感染者数がさらに跳ね上がった。毎日新聞が疑問を抱くようになったのは、小池知事による「緊急事態宣言・ギリギリ」発言の翌日から感染者数が急増したからだ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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