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土門「辛」聞

新型コロナウイルス感染爆発 政府の危機管理能力が招いた災禍


一方の検査実施人数。2月15日に130件と急増したのは(以前は0~5名)、例の屋形船で集団感染が起きて大規模に検査を実施したからだ。検査実施人数はそれを境に増えていく。東京都は検査すると必ず感染者数も公表する。従って隠蔽説はただの杞憂ということになる。
ひとつ気になるのは、検査数があまりにも少なすぎることである。これから述べるPCR検査の能力についての問題だ。

感染者を野放しにした形だけの水際強化

もっともシンボリックなのは、東京五輪延期を決めた当日の3月24日、東京・台東区の永寿総合病院で大規模な集団感染が発生したことである。以後感染者数は急増していく。この病院は、JRや東京メトロの上野駅から300m。外来患者が1日800人もある地域の中核病院だ。感染確認者は、同31日時点で100人を突破した。
感染源がポイントだ。大規模すぎて感染源を突き止めることは絶望的だが、タイミングからして、すぐ思いついたのは、爆発的な感染拡大に見舞われている欧米ルート。そのヒントになったのが、20日、成田空港検疫所で起きた、このエピソードだ。
スペイン・マドリードからの直行便で帰国した沖縄本島在住の10代の女性が、検疫所でPCR検査を受けながら、検査結果も確かめずに検疫官の制止を振り切って帰宅した出来事だ。翌朝に判明した結果は陽性。その女性は、シャトルバスで羽田空港に移動、那覇行きの予約便に乗って那覇空港に到着。迎えにきた家族の車で帰宅した。
これは本来、検疫法にもとづく隔離か停留かのケース。通常は14日間になる。それができなかったのは、検疫所長に命じる権限がなかったからだ。その段階になっても、検疫法を改正しながら停留についても要請ベースだったところに政府の怠慢がある。その要請もヨーロッパからの入国・帰国者は3月21日午前0時からの適用。国民には水際作戦を強化したと説明しながら、政府が必要な法改正に踏み切っていなかったのは大失態だ。
3月25日の定例会見で記者から質問が出た。加藤勝信厚労相はバツが悪かったのか、なぜか法改正のことは素通り。
「まず検査結果が出る前に検疫所長さんが、所定の場所で待機をして結果が出るまで待ってほしいということを度重ねて要請したにも関わらず、その要請を振り切って、結果的には公共交通機関を利用してご帰宅された。結果として陽性が発覚されたという事案でありました。まさにそうした意味において、私どもとして、陽性・陰性に関わらず、やはりそうした要請を振り切っていかれるということでは、水際での対応がしっかりできないということにもつながるので、誠に遺憾な事例だと思っております」

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