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事前に、肺は「lungs」、腫瘍は「tumor」、炎症は「inglammation」などと英語を調べておいたので何とか記入することができた。性別(sex)欄には「once a week(ほぼウソ)」と記入した。待合室でボケーと待っていると男性看護師がテキパキ動いていた。金髪・ブルーアイだったが、同僚と話している言葉は……メキシカンだった。そうなんです、カルフォルニアで働くには普通にメキシカンが話せないと一人前扱いされないこともあるそう。
10分もすると、白衣を着たヨボヨボの医師が私の名前を呼んでいた。札幌から持って来たCT画像を渡すが、黙って見ているだけだった。そこで私のほうから「札幌の担当医はこの3cmの炎症は肺がんではないと言っています」と伝えた。
すると現地の医師は「日本の医師が肺がんではない、と言うのだからそうなのであろう」と言った。私が「症状からバレーフィーバー(渓谷熱)の可能性はありますか?」と聞いたところで、じゃー血液検査をやりますかとなった。私の御清きAB+型の血液を抜いたのは先ほどの男性金髪・ブルーアイ野郎だった。確か3本くらい抜かれただろうか。
検査結果が出るまでに1週間くらい必要とのこと。その間、北海道よりも寒いファーゴで軽く商談し、その後ケンタッキー州のルイビルのファーム・ショウに行った。2週間経った2月13日、金曜日早朝にルイビルを発ち、ミネアポリス経由で3時間の時差ぼけを耐え、午後2時に先ほどのカルフォルニアの砂漠にあるクリニックに血液検査の結果報告を受け取ることになった。
その結果報告書を私に見せながら医師は「バレーフィーバーの抗体あるね。2つの検査でそうなっているよ」と告げた。私は、あ~やっぱりね、と思った。続けて「この後はどうすれば良いですか?」と尋ねた。医師の答えは「何もない」。再度確認したが、答えは同じだった。つまり抗体ができて、今は何の症状もないのだから薬も、治療もなし。確か前回の血液検査と今回の結果報告で250ドルくらいの支払いになったと記憶する。
翌日はとりあえず全快祝いだ!ということで、LAチャイナタウンの一番東側にある有名飯店フルハウスで宴会をすることになった。このフルハウスは味、質、価格が満点なのにトイレはいつも水浸しだが、毎回行く馴染みの店になってしまった。
いくつまで生きれば良いんだ?
北海道に帰り、血液検査の報告書を札幌南1条病院の医師に渡した。医師からは「そうか、そうか、でも切りたいよね」と言われた。実はアメリから帰ってからPET検査も受けた。がん細胞は正常細胞よりも多くのブドウ糖を取り込む。PET検査は、その性質を利用して、ブドウ糖を体内に入れてから放射線を当てて全身の画像を見ることになる。今では人間ドックで10万円台とお安く(?)できるようになったが、なんとその当時は15万円ほどした。私が行く病院では02年くらいからPET検査が可能になり、ありがたいことに保険適応で診て頂けることになっていた。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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