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【近隣の観光業から収穫の労働力を確保】
観光客が減れば、それだけサクランボを収穫する労働力が足りなくなる。また、通販を増やすので箱詰め作業の人手も要ることになる。そこで、矢萩氏は近隣の観光業と連携し、観光業界に勤めている人々に協力してもらうことにした。王将果樹園がある天童市には、温泉旅館などの観光業が多い。休業要請が出され、観光業が打撃を受けているため、勤め先が休業するなどして仕事を休まざるを得ない人が多いという。
「雇用調整助成金の補助はあっても給料の満額ではないので収入は減る。旅館の仲居さんのなかには子供の学費などが足りなくて困っている人がいると聞く。それなら、うちに来て、手伝ってもらいたいと思った」
社会保険労務士に相談したところ、「副業」として働いてもらえると確認できた。従来の勤め先と雇用契約を結んだまま、雇用調整助成金で給料を受け取りながらでも、王将果樹園とも雇用契約を結び副業として働いてもらう。
「作業は早朝の収穫から日中の選果、箱詰めまであるので、例年並みの作柄だと1日10人ぐらい、できるだけたくさん来てほしいと思っている」
休業中の観光業の方々を、労働力不足の果樹園で受け入れるというアイデアは、観光と農業が同居している天童市ならではだ。ただし事態は緊急を要する。思いついたら、すぐ実行できる矢萩氏のスピード感あってこそ役立つアイデアだ。
刻々と変わる状況のなかで、迷うことも多い。しかし、農産物は待ってくれない。
「農作物はどんどん育つ。こういうときだからこそ、助けてくれる人もいるし、平時ではできないこともある。融資も手厚くなっているので、諦めずにチャレンジしたらいいと思う。将来、あれがあったから今があるよねと一緒に働く仲間と笑い合えるようにしたい」
■(株)やまがたさくらんぼファーム
山形県天童市。経営規模:8ha。栽培品目:サクランボ、モモ、ブドウ、西洋ナシ、リンゴ。役員3人、正社員10人、パート7人、ほか季節従業員数人。通販とサクランボなどの観光農園・カフェ営業。2020年3月JGAP認証取得。
葉物野菜(茨城)外食出荷が激減 人手不足が追い打ち
契約取引から市場出荷に転換して急場を凌ぐ。
実習生が来日できず、コマツナは収穫時期を逃すケースも。
経営者のジレンマにさらされながら感染予防に徹する日々。
アクト農場は、コマツナを主力とした葉物野菜を生産している。そのほとんどを外食産業と契約取引してきた。代表の関治男氏(68)はいま、出荷先変更、人手不足、感染リスクの三つの事態に悩まされている。
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