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特集

激震!新型コロナウイルス(2) 農業者の「切実」


以前は、苗箱1000箱を午前中いっぱいかけて並べていたが、ここ数年で作業方法を変えたことによって、2000箱を2時間ほどで並べることができるようになった。数人で作業するにあたり、ハウスに並べる人が取りやすい場所に箱を置くなど、流れ作業しやすい方法に変えたからだ。毎年、何気なく繰り返してきた作業でも見直して、どんどん新しいやり方を取り入れている。
横田農場は、多品種のコメを生産することによって作業時期をずらし、田植え機とコンバインを1台ずつ稼働させながら100ha以上の水田の作業をしたり、特色ある米づくりで販売力を高めたりと従来の常識にとらわれない経営で知られる。いまの横田農場があるのは、農業の経験がない人や、茨城県外の出身でさまざまなバッググラウンドを持つ人が集まり、一つひとつ議論してきた結果だという。
「若い社員が提案することを否定しないでやってみようと言っている。農業は新しい人が入ってきにくい。経験も重要だが、チャレンジできる雰囲気にならなきゃいけない。それが農業の問題の本質だと思う」
横田氏は、東日本大震災で農業が注目されるようになったように、今回、社会が再び農業の重要性に気づく機会になると考えている。
「僕は、都市から田舎に帰ったほうがいいと思う」
この言葉には、二つの意味が込められている。農業への注目が高まるこの機会に、都市の若い人たちのような新しい人に門戸を開いてはどうか。また、都市から地方に人を分散したほうが、感染者が減るのではないか。そこには親心も含めた思いがある。
「じつは大学生の息子が、祖父母にうつしたくないと言って東京から帰って来ない。親としては心配だから帰ってほしい。仕事はいくらでもあるのだから」
現時点では、都市で仕事を失った若者が故郷にすら帰ることができない。海外からの帰国者の対策のように、地方でホテルや自宅で2週間外出を控えた後、地方で仕事してもらおうという仕組みや風潮をつくれないものだろうか。

■(有)横田農場
茨城県龍ヶ崎市。経営規模:160ha。栽培品目:コメ11品種。従業員数:11名(本人・家族含む)。ライスセンターを所有。商品は有機栽培や特別栽培の玄米や精米。販売先は小売店、ネット通販、レストランなどの飲食店。ほか、日本酒や米菓などの加工用米の直売。

5448億円20年度補正予算総額 コロナ感染拡大に伴う農業関連の主な支援策

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