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特別企画

国産バイオマス肥料・汚泥肥料で「勇気農業」にチャレンジ

肥料は原料の多くを輸入に頼っている。 つまり肥料自給率が低い。 自給率向上の決め手となるのがバイオ資源の活用だ。 ここでは、そのひとつである下水汚泥肥料を取り上げる。 実証研究に基づいた有機物活用型農業=勇気農業の提言。 勇気を出して安価な国産バイオマス肥料である 汚泥肥料を活用しよう。

1 農業生産に不可欠な肥料

世の中には、農薬不使用はいうにおよばず堆肥や肥料を一切施さないで、農産物を生産する「自然農法」なるものがある。山の中で自然の物質循環を巧みに利用し、ごく少量の農産物のみを生産する自給自足的自然農法であれば、成立するようにも思われる。しかし、一般の農耕地で肥料を施用せずに農産物を生産し、それを販売して生業とする営利的自然農法が本当に成り立つのだろうか、そのような疑問を抱いた筆者は自然農法実践地域の土壌診断調査を行ったことがある。紙面の都合で詳細は省くが、自然農法を始めるまで行っていた慣行農法当時の残存肥料を活用した「お余り農法」、あるいは周辺の農地から流入する養分を利用した「お流れ農法」であった。
植物が生育するには、17種類の養分が不可欠で、酸素・炭素・水素を除く14種類の養分は土の中から吸収される。すなわち、農産物を収穫するということは、土の中から養分を奪い取ることに他ならない。農家は土壌養分の「略奪者」とならないために、奪い取った養分を土にお返しする。それが「肥料(こやし)」だ。多雨気候でおまけに黒ぼく土が広く分布するわが国の土壌は、酸性が強く、石灰・苦土・カリなど交換性塩基を欠く。また、黒ぼく土はリン酸固定力が強く、施肥したリン酸を作物が吸収できない形態に変えてしまう性質が強いため、欧米などの農業先進国に比べて、日本の土は極端に痩せている。日本農業にとって、肥料は絶対に必要不可欠な資材だ。
肥料の分け方にはさまざまあるが、最もわかりやすい分類が化学肥料と有機質肥料である。
化学肥料といえば、化学的に合成した肥料と思っている人が多いようだが、窒素肥料の主原料は空気中に約80%含まれる窒素ガス、リン酸肥料はリン鉱石という天然鉱物だ。窒素ガスはそのままでは肥料として効かないので、天然ガス中の水素ガスと反応させてアンモニアに変えると尿素や硫安などの窒素肥料となる。リン鉱石には30%程度のリン酸が含まれるが、植物には吸収されにくい形態となっている。そこで、硫酸や加熱処理で効きやすいリン酸に変えたものが過リン酸石灰や熔成リン肥などのリン酸肥料である。
有機農業にこだわりリン鉱石の粉末を施用する農家もいるが、リン酸肥料と同等の効果を得るには、大量のリン鉱石が必要で貴重な資源の浪費となる。化学肥料であるリン酸肥料を使った方が断然環境にやさしい。そのリン鉱石だが、日本には産業利用できるような資源がないため、ほとんどを輸入に依存し、主な輸入先は中国と中近東だ。
カリ肥料の原料は岩塩で、リン鉱石と同じように日本には資源がないため、カナダやベラルーシなどから大量に輸入している。なお、塩化カリは岩塩を砕いただけの肥料で天然物そのもの、硫酸カリは塩化カリを硫酸で化学処理した肥料である。
一方、有機質肥料とは油かすや魚かすなど、ほとんどがさまざまな食品産業などから出る副産物を原料とする肥料である。本来、有機質肥料は国産肥料であるが、最近ではどういうわけか化学肥料が嫌われて有機嗜好が高まる中で有機質肥料の需要が高まり、現状では輸入量が増加している。
このように、日本では農業生産に欠かせない肥料の多くを輸入している。日本の食料自給率は37%、飼料自給率は27%にすぎず、それらを高めるべきことは当然だが、それと同時に肥料自給率も高めなければいけない。

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