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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第17回 金銀賞連続7回のワイナリー家族経営で手作りの味醸す 源作印(有)秩父ワイン(埼玉県小鹿野町)



■高品質なワインめざす
秩父ワインの経営発展が本格化したのは、4代目島田安久氏(源作の孫娘の夫)の時代である。島田安久氏は75年(昭和50年)、源作に依頼され、ワイン造りを引き継いだ(注:源作は85年没、95歳)。4代目は、工場を拡張した。
この頃から、日本経済も安定成長期に入り家庭でワインを楽しむ人々が増え(第2次ワインブーム、なお72年ワイン輸入自由化)、デパートからも問い合わせがくる等、お客さんにワインを飲んでもらえるようになった。源作じいさんの時代は、自作畑のブドウによる醸造で、生産本数は1万本に満たなかった。親戚や知り合いに量り売りが主だった。「秩父生葡萄酒」ブランドで、1升瓶での販売だった。4代目の時代になって、購入ブドウによる生産拡大、工場拡張、ブランドも「源作ワイン」になった。源作ワインの知名度の向上、ワインブームと重なり、4代目の時代は同社の発展期であった。
金賞ワインを造ったのは5代目、現社長・島田昇氏(68年生)である。5代目就任は2012年であるが、実質上は父の代から経営に参加しており、1990年代にはいろいろな新機軸を手がけた。特に、品質を高め付加価値を高める路線だ。フレンチオークを導入し醸造で品質を高めた。欧州系品種を導入した。ブドウ栽培に垣根式を導入した、等々。
今後の経営方針と課題を聞いた。島田社長「甲州シュール・リーはこれからも高品質の辛口を造っていきたい」「去年、新しい設備を導入した。この濾過機で味がしっかりしたものができる」「今後も、品質を高め、付加価値を高めていきたい」と抱負を語る。
秩父ワインの販売は、ほとんど問屋卸である。一部、直売もある。オンラインショップは2年前から。ワイナリーへの訪問客は、偶(たま)に団体客もあるが、1万人に満たない。カフェ・レストランが併設されていればもっと増えるであろうが、カフェ新設はリスクがあるという。交通の便が悪い、田舎にはいいコックが来てくれない、等々を挙げた。
しかし、クルマの時代だ。ワインは人を呼ぶ。町全体でワイナリーを組み込んだ観光発展のマスタープランを作れば、期待できるのではなかろうか。カフェを新設し、訪問客が1万人を大きく超える時代の到来を期待したい。

■超モダンなエチケット
秩父ワインにアプローチしたのは、「金賞」の連続受賞が関心を引いたことも事実だが、もう一つ、「源作ワイン」というブランド名のインパクトの強さだ。同時に、ラベルのデザインも興味を引いた(注)。

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