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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第17回 金銀賞連続7回のワイナリー家族経営で手作りの味醸す 源作印(有)秩父ワイン(埼玉県小鹿野町)


注:「源作印」は源作じいさんの遺言である。「源作印のラベルを孫、曾孫、玄孫の代、千代に継いでくれ」。現在の「源作印ワイン」のラベルは1989年にできたものである(中村勝幸氏のデザイン)。
日本におけるワイン文化の受容は明治の文明開化期であり(前史は信長時代)、西洋文明の香りがする。また現在も、ワインの7割は輸入ワインであり、原料輸入を含めると95%が海外産であり、純国産の「日本ワイン」は全体の5%に過ぎない。まだ、ワインは西洋文明の象徴みたいなものである。
そのためか、純国産の「日本ワイン」も、カタカナ・ブランド、横文字的なブランドが多い。明治40年発売の「赤玉ポートワイン」も横文字ラベルであり、それが“ハイカラ”の象徴になっていた。100年以上経った今日も、日本の近代化は大差なし。そういう中にあって、「源作ワイン」という名前は異色である。インパクトのあるエチケットである。ブランド名とデザインが一体化してその感を強めている。
「源作」という名前が田舎っぽく、ダサイ印象を受ける人もいよう。しかし、筆者には、ホンモノの近代化を体現していない、物まねの「近代化」「なんちゃって近代化」を突き抜けた、超越したプレゼンスを感じる。古さではなく、新鮮さを感じる。また、書は温かみを感じる。気骨ある秩父人の秩父魂のようなものも感じる。これこそテロワールか(写真参照)。
このエチケットには、「先端を行く」というか「劃時代的」という意味で「超モダン」を感じる。「ポストモダン」という表現が適切とも言えるが、「ポスト」は難しく、また好きではない。あえて「超モダン」と表現したい。(ここでいう「超」はテクノロジー面での突端性をいう時と同義ではない)。源作じいさんはハイカラさんだったようだけど、自分で造ったワインの銘柄の名付けも本領発揮である。案外「エスプリ」の持ち主であったのであろう。
筆者が秩父を訪問したのは4月中旬である。今年も、ワインの出来は良いようだ。島田社長は新しい設備を使ったワインでコンクール出品と意気込んでいたようだが、今年の日本ワインコンクールはコロナ禍の影響で中止となった。「金賞」を逃し、残念そうであった。新しい濾過機で一段と高品質なワインができるようだから、連続受賞が続くことが期待できそうだ。

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