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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

イスラエル 麻の大麻成分を発見した国で先行する医療用大麻の取り組み

イスラエルは、人口約800万人の地中海に面する中東の国で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三つの宗教の聖地として知られるエルサレムがある。
国土面積は日本の四国ほどだが、大部分が乾燥・半乾燥地域に属している。そのため、近年では点滴灌水、温室制御などのハイテクな生産システムが発達した農業国として知られ、おもな農産物に小麦、かんきつ類、ジャガイモ、トマト、パプリカなどがある。
大麻草に関する歴史は長く、ユダヤ教の旧約聖書に続く聖典『タルムード』にも大麻草の記述が見られる。この書物は1000年以上にわたって語り継がれた口伝を西暦500~600年頃に集大成したもので、交通や貿易の要衝だったこの地で、嗜好品の大麻樹脂(ハシシ)の取引が盛んに行なわれていたという。大麻に寛容なオランダの街中にある“コーヒーショップ(嗜好用大麻の販売店)”も、イスラエル発祥といわれている。歴史を紐解くと、中世にイスラム圏で広がったタバコの喫煙法に水キセル(水パイプ)があり、そこにオスマン帝国の占領初期にコーヒーを飲むというカフェ文化が伝わり、コーヒーを飲む前に水キセルで喫煙するのが一般的な風習となり、大麻樹脂の喫煙が融合したのだ。

ミシューラム博士の功績

産業用ヘンプが医療用・嗜好用と区別され、世界的に規制緩和が進んだのは、麻に含まれる化学成分が同定されたからに他ならない。その偉業を成し遂げたのは、「カンナビノイド研究のゴッドファーザー」と呼ばれるヘブライ大学教授のラファエル・ミシューラム博士だ。資源の乏しい同国では、有機化学者として世界中の研究者と競争していくためには、誰もやっていないことに取り組む必要があった。そんな折に偶然にも警察が麻薬密売人から押収したレバノン産の大麻樹脂5kgを譲り受けて行なった成分解析の研究で、1964年にマリファナ成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の分離・構造解明・合成に成功したのである。この前年には向精神作用のないCBD(カンナビジオール)でも同様の発見をしている。

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