記事閲覧
【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
イスラエル 麻の大麻成分を発見した国で先行する医療用大麻の取り組み
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第30回 2020年05月25日
- この記事をPDFで読む
国土面積は日本の四国ほどだが、大部分が乾燥・半乾燥地域に属している。そのため、近年では点滴灌水、温室制御などのハイテクな生産システムが発達した農業国として知られ、おもな農産物に小麦、かんきつ類、ジャガイモ、トマト、パプリカなどがある。
大麻草に関する歴史は長く、ユダヤ教の旧約聖書に続く聖典『タルムード』にも大麻草の記述が見られる。この書物は1000年以上にわたって語り継がれた口伝を西暦500~600年頃に集大成したもので、交通や貿易の要衝だったこの地で、嗜好品の大麻樹脂(ハシシ)の取引が盛んに行なわれていたという。大麻に寛容なオランダの街中にある“コーヒーショップ(嗜好用大麻の販売店)”も、イスラエル発祥といわれている。歴史を紐解くと、中世にイスラム圏で広がったタバコの喫煙法に水キセル(水パイプ)があり、そこにオスマン帝国の占領初期にコーヒーを飲むというカフェ文化が伝わり、コーヒーを飲む前に水キセルで喫煙するのが一般的な風習となり、大麻樹脂の喫煙が融合したのだ。
産業用ヘンプが医療用・嗜好用と区別され、世界的に規制緩和が進んだのは、麻に含まれる化学成分が同定されたからに他ならない。その偉業を成し遂げたのは、「カンナビノイド研究のゴッドファーザー」と呼ばれるヘブライ大学教授のラファエル・ミシューラム博士だ。資源の乏しい同国では、有機化学者として世界中の研究者と競争していくためには、誰もやっていないことに取り組む必要があった。そんな折に偶然にも警察が麻薬密売人から押収したレバノン産の大麻樹脂5kgを譲り受けて行なった成分解析の研究で、1964年にマリファナ成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の分離・構造解明・合成に成功したのである。この前年には向精神作用のないCBD(カンナビジオール)でも同様の発見をしている。
大麻草に関する歴史は長く、ユダヤ教の旧約聖書に続く聖典『タルムード』にも大麻草の記述が見られる。この書物は1000年以上にわたって語り継がれた口伝を西暦500~600年頃に集大成したもので、交通や貿易の要衝だったこの地で、嗜好品の大麻樹脂(ハシシ)の取引が盛んに行なわれていたという。大麻に寛容なオランダの街中にある“コーヒーショップ(嗜好用大麻の販売店)”も、イスラエル発祥といわれている。歴史を紐解くと、中世にイスラム圏で広がったタバコの喫煙法に水キセル(水パイプ)があり、そこにオスマン帝国の占領初期にコーヒーを飲むというカフェ文化が伝わり、コーヒーを飲む前に水キセルで喫煙するのが一般的な風習となり、大麻樹脂の喫煙が融合したのだ。
ミシューラム博士の功績
産業用ヘンプが医療用・嗜好用と区別され、世界的に規制緩和が進んだのは、麻に含まれる化学成分が同定されたからに他ならない。その偉業を成し遂げたのは、「カンナビノイド研究のゴッドファーザー」と呼ばれるヘブライ大学教授のラファエル・ミシューラム博士だ。資源の乏しい同国では、有機化学者として世界中の研究者と競争していくためには、誰もやっていないことに取り組む必要があった。そんな折に偶然にも警察が麻薬密売人から押収したレバノン産の大麻樹脂5kgを譲り受けて行なった成分解析の研究で、1964年にマリファナ成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)の分離・構造解明・合成に成功したのである。この前年には向精神作用のないCBD(カンナビジオール)でも同様の発見をしている。
会員の方はここからログイン

赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
WHAT'S NEW
- 有料会員申し込み受付終了のお知らせ
- (2024/03/05)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2023/07/26)
- 年末年始休業のお知らせ
- (2022/12/23)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2022/07/28)
- 夏期休業期間のお知らせ
- (2021/08/10)
