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【土門「辛」聞】
トップ主導で「先手防疫」「超然部署」 コロナ克服した台湾の凄さ
- 土門剛
- 第189回 2020年05月25日
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台湾は感染前から臨戦態勢をとっていた
台湾のコロナ封じ込め成功―それは蔡英文政権の閣僚2人がキーパーソンだった。日本の厚生労働大臣に相当する衛生福利(衛福)部長の陳時中氏(66歳)と、無任所大臣としてITデジタルを担当する英名オードリー・タンと呼ぶ政務委員の唐鳳氏(39歳)だ。
もともと歯科医師だった陳氏が、政治の世界で仕事をするようになったのは蔡英文総統の医療政策の草案作りにスタッフとして参加していたことがきっかけ。2004年に行政院衛生署(衛福部の前身)副署長に指名され、17年2月、トップの衛福部長に就いた。
コロナ対策で陳氏が打つ手は、遠くで稲妻が光った時点ですでに対策に着手という素早さだった。それを象徴するのが、新型コロナ対策のための中央流行疫情指揮中心(CECC)を立ち上げたタイミング。1月20日というから初発確認の2日前だ。陳氏は自ら指揮官に就く。
CECCと同じ組織は内閣総理大臣を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」。設置時期からしてスローモーだ。わが国での初発確認は1月15日。政府が対策本部を立ち上げるのは1月30日。
陳氏の日本でのカウンター・パートは加藤勝信厚労大臣だ。初の感染者を確認した直後の1月下旬には地元・岡山にも帰っている。初動時点での危機感はゼロ。
日本と台湾の感染者第1号は、ともに中国・武漢市からの帰国者だった。ポイントは、武漢市からの帰国者・入国者に入国禁止措置を講じたタイミング。台湾は感染者確認の翌日。日本は2月1日、確認から17日目のことだった。大失態だ。
その加藤氏、自民党内では厚労部会長を務めた厚労族の中堅らしい。コロナ問題でメディア露出が多く、知名度も上昇。次の総裁候補の一人と新聞は書いているが、所詮は婿入りした先が自民党実力者だったという僥倖に尽き、実力も手法も霞ヶ関課長級だ。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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