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土門「辛」聞

トップ主導で「先手防疫」「超然部署」 コロナ克服した台湾の凄さ


「昨年12月31日午前3時ごろ、中央感染症指揮センター医療対策チームの羅一鈞副チーム長(当時は衛生福利部疾病管制署報道官)がインターネット掲示板で1件の投稿を偶然目にする。この投稿では、武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)に似た感染症が発生している可能性があることが指摘されていた。さらに『現地の市場に関係する7人の感染が確認された』と武漢の医師、李文亮氏が告発する会話内容のほか、検査報告や胸部CT検査の画像が添付されていた。他の情報も収集した結果、投稿されていた検査報告には一定の信頼性があると羅氏は判断。武漢では院内感染が発生しており、感染の懸念から患者を隔離していると認識するに至った。ここまで調べ上げると、即座に衛生福利部疾病管制署の防疫グループに関連の資料を送信したという」
李文亮氏とは、新型コロナウイルスの発生をSNSで発信したところ、中国政府から「デマ伝搬者」とレッテルを貼られ、2月7日にコロナが原因で死亡した武漢市の医師。羅氏が偶然目にしたのは、同30日午後5時43分発信の情報だった。このSNS情報を重視したことが、その後の成功につながっていくのだ。
厚労省の技官、国立感染症研究所のスタッフは、羅氏と同じぐらい使命感があり昼夜分かたず情報収集していたか。聞くも愚かなことだ。その後のドタバタぶりがすべてを証明する。

アベノマスクが笑い者に 徹底したマスク対策

台湾でも最初のころは、薬局やスーパーマーケットでマスクを求める市民の行列があった。なかにはマスク製造工場まで人が殺到していたという。国内で感染者を確認して以降は、そういうことはなくなった。マスクの生産と流通をいち早く国家管理にして、ITデジタルを使った配布システムを導入したからだ。
その立役者が先に紹介した唐鳳氏。日本では絶対に出てこないタイプの政治家だ。プロフィールを紹介すると、いくつも「異例の」という形容句がつきまとう。
中学校卒業ながら米アップルの顧問を務めた経験があり、台湾では「インターネットの神童」「パソコンの天才」などと称されている。世界初のトランスジェンダー大臣になった。性転換で男性から女性になった「異例の」経歴を持つからだ。政務委員に就いたのは16年、35歳のときだった。もちろん台湾政治史上最年少の大臣誕生だった。
「先手防疫」と「超然部署」は、マスク対策でも貫かれた。感染者が1人も出ていない昨年12月末の時点で政府がマスクや医療関連資材の国内在庫を確認していたことだ。翻ってわが政府が、「先手防疫」と「超然部署」をやっていたか。これまた聞くも愚か、アベノマスクがすべてを物語る。

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