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新・農業経営者ルポ

レモンを手にしたら、レモネードを作れ


それを象徴する出来事だったのは2018年秋。初恋レモンプロジェクトは創立10年を記念し、豊橋市を代表するホテルでパーティーを開いた。提供する料理にはすべて、河合の無農薬レモンを多かれ少なかれ使うという触れ込みだった。それを知って参加したのはじつに120人。河合は当時を振り返り、発破をかけるようにこう語った。
「一農家の仕掛けにこれだけの人が集まったのは前代未聞。農家でもこういう世界をつくれるんだということを多くの人に知ってもらいたいですね」

安易な六次化には反対

外観が悪いレモンが多発したときには困惑したが、思わぬところに道が開けていった。それもこれも「もともとレモンのブランディングがうまくいっていたからこそ」だと河合は感じている。だからこそ安易な六次産業化には批判的だ。
「顧客を持っていない中で六次産業化を始めるのはやめた方がいいですね。造っても売れないですから。ものづくりがしっかりしていて、ブランディングに成功していないと、本当にひどい目に遭います。失敗した例はいくつも聞いていますから」
河合が戒めとしている言葉がある。農業経営学の草分けとされる齋藤萬吉(1863~1914)の訓辞だ。
「農学は舌耕にあらざるなり」
河合はこう解釈している。
「人は少し名が知られると『先生』と呼ばれて、偉そうになってしまうのは世の常。それで農業がおろそかになって失敗した農家は少なくない。僕らの仕事のベースはやはり農業なんです。この言葉は自分へのそうした戒めであるとともに、もう一つの意味があると受け止めています。それは農業は理論だけではなく、実践があってこそ成り立つということ。実践というのは農業の経営をしないとその感覚が身につかず、教えられないと考えています」
だから河合は近隣の若手の農家を集めた経営塾を開いてきた。

ベルガモットと自然栽培

河合が目下注力していることが二つある。一つはベルガモットの鉢植えである。果皮も果汁もえぐみが強いので生食や果汁飲料には向かず、主には精油して香料に利用されている。ただ、河合が試したところ、果皮も果汁も使い方次第では加工品や料理のポテンシャルを高めることが分かったのだ。
もう一つの試みは自然栽培。農薬も肥料も一切使わずにレモンを作るのだ。参考にしたのはその提唱者である福岡正信(1913~2008年)の著書。その中にレモンの自然栽培の実践についての記述があった。

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