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特集

オンライン市場が目指す農産物流通

農産物の販路が多様化するなか、近年、インターネット上でBtoBの直接取引の場を提供するオンライン市場が台頭してきた。複数の生産者と複数の小売・飲食・加工などが参加し直接値決めしながら取引する場である。生産者にとっては、販路の選択肢が増えることになり、事務負担も軽減されるなどの商流上のメリットがある。一方、直売に必ず付いて回る物流上の課題が残されている。今回の特集では、地域内流通により物流課題を解決した例も含め、オンライン市場3例を挙げる。それぞれ、どんな農産物流通を目指しているのか。

自分の農産物の価格と食べる人がわかる場【ラクーザ/運営:マイファーム(株)】

ラクーザは、生産者と実需者がインターネット上で直接取引できる商流のサービスを提供している。生産者が飲食店や小売店と直接価格交渉できるBtoBの市場として、19年8月に本格スタートした。基本的には、全国各地の生産者が出品した野菜などの農産物に、複数の買い手が入札してせり落とすという仕組みだ。
ラクーザは、「自産自消」を提唱した西辻一真社長率いるマイファーム(株)が運営している。西辻氏はラクーザに、どんな農産物流通の理想を託したのだろうか。

【スムーズな取引ができる機能を充実】

生産者にとってラクーザを使用することで得られる直接のメリットは、自分が販売する農産物に希望する価格を付けられることと、事務処理や与信管理を簡素化できることだ。
ラクーザは、生産者があらかじめ希望する価格を提示したうえで、実需者がせりをすることが基本だが、価格交渉する相対取引も取り入れている。
生産者は、ラクーザの手数料として販売価格の15%と宅配便などの送料を負担する。たとえば、ホウレンソウ1箱を販売するときは、15%の手数料と送料、生産コスト、利益を計算して価格の設定をすることができる。取引が成立したら、生産者は農産物を段ボールに詰めて宅配便で送る。最低100サイズ段ボール1箱が目安だ。
伝票処理や決済処理は自動化されているので、事務処理の手間を省くことができる。決済と与信には、BtoB取引の掛売り決済と与信管理の実績がある「Paid」を導入し、生産者に安心して出品してもらえるようにしている。また、少しでも早く生産者の手元に売上金が入るように一旦ラクーザが立て替え、当月締め当月末支払いにしているなど、生産者に寄り添った仕組みが特徴だ。
直近では、実需者が選びやすいように品目を検索する機能も取り入れたり、1対1で商談や情報交換ができるチャット機能を追加したりして、よりスムーズな取引ができるように改良している。また、農産物は一定以上の品質を推奨するため、ラクーザが良品と判断したものを実需者に推薦している。

【新規就農者や新たな品目の挑戦者に販路を提供】

マイファームは、農に関わる人を増やす事業に取り組むベンチャー企業である。農業に関心のある人を対象とした「アグリイノベーション大学校」や、新規就農を目指す人を対象とした「農(みのり)の学校」などの事業を展開している。これらの学校の卒業生が新規就農したとき、販路を提供しようというのがラクーザ開発のきっかけである。
「生産者が直接営業できればよいが、農業を始めたばかりのころは生産だけで忙しい。まず生産に集中したい、営業に割く時間がないという人たちに、直売ルートを提供したいというのがマイファームとしての理由だ」

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