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特集

オンライン市場が目指す農産物流通


オンライン市場は、複数の売り手と買い手が集まる「市場」でもあり、情報や人間関係が力になる「直売」でもある。誰でも参加できる自由さもあり、最初の取引を機に継続的な取引ができるかどうかも試される。
本特集に挙げたオンライン市場3例に共通しているのは、農産物にまつわる「情報」を伴った流通を目指していることだ。ITで商流の効率化を図りながら、生産者と実需者が情報交換することを促すような有機的な場を提供している。すでに自社で直売している経営者は、農産物にまつわる情報が武器になることは実感していることだろう。特に小売店や飲食店では、店頭やメニューを通じてエンドユーザーにまで農産物の情報を伝えようという動きが定常化しつつある。情報があって当たり前の時代になり、産地や品質や量に加え、エンドユーザーに「選ぶ理由」を提供することが求められているからだ。
オンライン市場などの直売の課題は物流だ。地産地消の場合、やさいバスがひとつの解を示した。一方、地域をまたがる場合、どんな物流を構築するか。既存の物流をどう活用するか。直売をしている生産者にとって、物流は経営を決める大きな要素でもある。
6月21日、「新卸売市場法」が施行された。取引の自由度を高めた改正で、市場の開設者が関係者と協議しルールを見直すことができる。主な改正点は4点。(1)「第三者販売の禁止」の廃止により、卸売業者が市場内の仲卸業者や売買参加者のほかに小売業や飲食業に直接販売できる。(2)「直荷引きの禁止」の廃止により、市場内の仲卸業者が直接産地とやりとりできる。(3)「商物一致」の廃止により、市場内の仲卸業者が商流で仕入れ、物流は産地から直接飲食店や小売店に直送できる。(4)「中央卸売市場」を農水省の認可で民間が開設できる。
注目すべきは、(3)にある商流と物流の分離だ。この点はオンライン市場などの直売と同じだ。実際に導入されれば、中央卸売市場に集めて枝分かれさせる大量の農産物の物流構造が大きく変わることになる。倉庫など配送拠点が変われば、トラックが走るルートも変わる。新たな物流ルートが生まれることで、直売に活用できるような新たな物流サービスも生まれる可能性があるだろう。

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