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土門「辛」聞

“冬のお化け”話で煽る種苗法改正反対派に根拠なし


さらにボルテージを上げた5月23日には、「検察庁法改正法案、スーパーシティ法案、種苗法改悪法案、憲法改正のための国民投票改正法案などごり押しして成立させようとした安倍総理」とツイート。なぜか種苗法だけ「改悪」と強調。
残念ながら福島さんの指摘は的外れ。根拠も示さず東京新聞の記事に引きずられて拡散を呼びかけている様子が浮かび上がってきた。残念ながらその東京新聞は一発で分かるフェイクだ。
東京新聞の記事は、リード部分からいきなり論理破綻している。「農家の権利や地域に伝わる在来種を守る視点に欠け」という部分だ。在来種は一般品種の扱いなので、先に述べたとおり、自家増殖は何も禁止されていない。検討会資料に目を通しておけば、この種の間違いは起きない。明らかにミス・リードなので軌道修正してしておいた方がよい。
次いで「多国籍企業による種の集中支配を促しかねない」。主要農産物種子法廃止(18年)の際にも、そんな話をよく耳にした。多国籍企業を「モンサント」という固有名詞に置き換えてのプロパガンダもある。モンサントは18年にドイツの大手化学メーカー、バイエルに買収されて社名は消滅した。
これを「冬のお化け」と呼ぶ。出てきたためしがないからだ。日本の品種登録に旧モンサントのような多国籍企業が出願してくるケースは、ほぼゼロに等しい。現に78年の種苗法制定以来、旧モンサントが品種登録したのはコメで3件のみ。それも早々に日本市場から撤退。その品種登録の権利は日本企業に譲渡されたが、市場では相手にされなかった。
これは多国籍企業にとって、日本の種苗マーケットが魅力ではないことを雄弁に物語るエピソードだ。ちなみに世界のコメ生産は7億7000万t。うち日本の生産量は978万t(いずれも17年国連食糧農業機関)。巨額の開発費をかけて品種改良に成功しても、回収不可能な市場規模。もともとビジネスとしては成り立ちにくいのだ。
野菜はもっとハードルが高い。多品種少量生産。もとより多国籍企業には不向きのマーケットだ。彼らはグローバル・サイズの作物しか相手にしない。麦、トウモロコシ、大豆などの類いだ。農業現場の実情が頭に入っておれば、冬のお化け話はまず口から出てこないものだ。
東京新聞記事の矛盾点を整理しておこう。2点ある。まず記事に整合性がない。次いで登録品種の自家増殖についての記述がきわめて不正確。これでは読者に誤解を与えてしまう。

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