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今年の市場相場を読む

野菜扱いされている特殊な品目の行方 ウメ/ラッキョウ/ユリネ/ギンナン

卸売市場は農水省管轄下にありながら、植物学的な分類をする生産統計に対して、流通は商品性を重点に置いている。生産統計では野菜に分類されるイチゴやメロン、スイカは卸売市場や小売店では果実であり、ウメ、ギンナン、クリ、スダチ、ユズ、つま物のうちの“芽物類”は卸売市場では野菜である。多くは業務用・和食のつま物などに使われてきた品目であるが、昭和50年代にスーパー間競争時代となって小売店で売られるようになった。
和食の材料ながら、業務用あるいは加工用にもっぱら使用されてきた品目のなかに、これから令和の“第3世代”品目が現れるか。

ウメ わずか3カ月の商材はしぶとく存続、“マイ梅酒”的ブームの仕掛けを

【概況】
東京市場でウメは典型的な季節野菜で、6月を中心に前後3カ月の商品である。過去10年間(2009年対19年)の推移を見ると、数量で40%減、キロ単価は50%高くなった。実数では、09年は約3000トン入荷したものが、19年では1800トン台まで減った。ウメはすでに30年前、昭和の終わりから平成にかけてのバブル期から徐々に減り出していた。19年の入荷実績は18年より15%減っているものの、今年20年は5月現在、19年の2割増だ。
【背景】
ウメの主産地・和歌山では近年、栽培面積は多少の減少は見られるが、昨今の気候変動で生産量が不安定になっている。単価はここ数年高くなってきたが、それまでは下降が続いていた。和歌山は全国シェア34%だが、産出額ではほぼ70%を占めている。4月現在の生育状況は、前年より5~10日程度早いが、主産地(みなべ町・印南町)の着果数は過去10年平均に比べ少ないという。現場では「平年の2割減もしくはそれ以上の減収」の声が。
【今後の対応】
ウメ生産はそれほど減っていない。東京市場への青ウメ入荷は2000t程度で続いている。和歌山は、同時にウメ加工品の主産地でもあり、青ウメの出荷時期はまた加工のシーズン。需要に応じた出荷調整や価格戦略への対応も可能。小売のフェア等販促企画に産地も参加できる。産地JA婦人部等による「梅漬け講習会」も一定の効果はある。今シーズンは家庭調理、とくに家族による調理参加が増えた。“〇〇年産マイ梅酒”のブームもあり得る。

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