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今年の市場相場を読む

野菜扱いされている特殊な品目の行方 ウメ/ラッキョウ/ユリネ/ギンナン


ラッキョウ 2カ月間の旬のほかに周年需要も、家庭での年間行事需要を掘り起こせ

【概況】
東京市場でのラッキョウを10年間で対比すると、数量は42%減って34%高くなっている。5月、6月に入荷のピークを作る季節野菜である。年間では鳥取41%、鹿児島35%が2トップだが、茨城、徳島、沖縄など16県からも入荷し、沖縄からは少量ながら年間を通して供給される。09年では鳥取37%、鹿児島27%を中心に、23もの県から入荷し、沖縄の島ラッキョウもすでに来ていた。ラッキョウは、季節だけではなく、周年需要がある。
【背景】
ラッキョウは、全国的にどこでも家庭で漬物にしていたものではない。しかし、すでに江戸末期には、生で味噌をつけても、塩漬け、粕漬、甘酢漬けしても煮てもいい、と紹介されている。明治に入ってカレーの付け合わせで使われるようになる。しかし、ウメと異なり、ひげ根切り、薄皮取りなど下処理や重石して塩漬けで1カ月。長期貯蔵のためには甘酢漬けなど手間がかかる。どこでも生産可能だが、既製品が出回るようになると家庭漬けは減った。
【今後の対応】
昭和50年代、スーパー間の差別化商品開発合戦の結果、梅漬けや梅酒づくりセット(ウメと焼酎、ザラメ、容器等)とともに、ちょうど季節が重なるラッキョウも同様のセットで併売され、普及し始めた。直近ではコロナで長期間、家族が一緒に過ごすことで、より家庭での手作りが増えて年間行事化も。今年は、鳥取はやや不作傾向ながら、鹿児島や高知、徳島、沖縄が出荷を増やし、単価もややこなれた。塩漬けだけでおいしく食べられることが知れわたったか。

ユリネ 完全な独占産地の北海道の役割は脱気包装品で周年供給をつないで

【概況】
東京市場のユリネは、10年間の対比では数量23%減の単価21%高となった。産地は、09年では97%、19年では99.6%の北海道。数量はともかく2位に当たる産地が京都というのがユリネの地位を物語る。09年と19年との入荷実績は思ったほどの差はないように見えるが、圧倒的に違うのが、19年には5~8月の期間の入荷数量が8~9割も減り、単価は2.5~3.4倍となったこと。主産地・北海道はユリネをどうやって調整するのか。
【背景】
ユリネの最需要期は12月の正月料理仕向けである。この月は1年間の4割が入荷する。次は多い順に11月、10月だ。この時期に入荷するものは、前もって作って冷凍しておく正月料理用が多くを占める。一方、過去10年を見て、春から夏場にかけて極端に入荷量が減り、単価が暴騰している感がある。主産地である北海道が完全にマーケットを支配できる立場にいるため、出荷を調整して高値を常に誘導しているのではと思えるが、それも含め理由は他にある。

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