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イベントレポート

三方原馬鈴薯のドローンによる実証散布


上述のプロポーズ顆粒水和剤(ベンチアバリカルブイソプロピル・TPN水和剤)も登録されたばかりだ。

飛行前後の準備、片付け時間も考慮

見学会では、飛行開始から11aの圃場を1往復で防除するのに5分もかからなかった。しかし、バッテリーを充電した後、飛行開始までにかかる時間も考慮する必要がある。車への積み下ろし、農薬の計量と混合、希釈、さらに吐出量の試験をして飛行が開始できるまでには約15分を要する。車から飛行位置までの運搬に関しては比較的容易に見えた。アームを折りたたまず、そのまま軽トラックの荷台に搭載できる。
ちなみに、吐出量の試験とは、両側ノズルの下に計量カップを置いて30秒間吐出させ、溜まった量から1分間の吐出量を計算する。そして、圃場面積に対する散布量に合わせ、飛行速度と吐出量を決定する。今回は、散布幅4m、時速12km、吐出量は1390ミリリットル/分で飛行し、10a当たり3.2リットル散布した。水稲の場合は一つのバッテリーで1haの作業が可能だが、圃場が複数ある場合、単純に10a圃場を10枚作業できるわけではない。さらにいえば、馬鈴薯の無人航空機用薬剤の場合は、10a当たり3.2リットルの散布が基本となるため、一つのバッテリーで作業可能な面積は、水稲の約4分の1程度とのことだ。充電に約1時間半を要するため、連続で作業したい場合には圃場面積や圃場数に応じて複数セットのバッテリーを持参する必要がある。今後、積載重量が軽減、つまり高濃度、少量で散布可能なドローンに適した農薬の拡大や吐出量の増加により、一つのバッテリーで作業できる面積の拡大が期待される。

産地を維持するための作業負担軽減に一役

三方原馬鈴薯は、高齢化が進む中で産地として出荷量を維持するには、離農者の面積分を他の生産者の作付面積拡大に頼らなければならない。そのため、生産者の作業負担の軽減を目指すことが重要だ。一方で、浜松市の馬鈴薯圃場は住宅地や道路に隣接していることから、ドリフトの問題や住民から理解を得ながら普及させていくことも必要になる。
(紀平真理子)

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