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新・農業経営者ルポ

農学と情報科学の融合で世界にない価値をつくる


ハッピークオリティはこの技術を使い、時系列に沿って作物の生育を三次元データを構築することを狙っている。既述した人の行動のデータやハウスの気温、湿度などの環境のデータなどと照らし合わせれば、作物の生育が何によって変化したのかを読み解けるのではないかと見ている。

狙うはフランチャイズ農業

宮地と玉井は一連の技術を誰もが使えるようなプラットフォームを構築するつもりだ。使うのは農家でもいいし、農家に営農指導をする企業や組織でもいい。生産に関するデータは収集し、さらなるサービスを生み出していく。
目指すのは「誰でも簡単に高品質な作物を生産し、儲けることができる農業」。そんな農業に入ってくる敷居を下げるため、フランチャイズを展開していく。高糖度トマトを作りたい人がいれば、サンファーム中山で研修を受け入れる。AIで高糖度トマトを栽培する技術を身につけた段階で独立させる。独立後に生産する高糖度トマトはハッピークオリティで全量買い取るのだ。
今年研修を受けてきた研修生が夏にも独立する。さらに、施設園芸業界では著名な企業が大規模に生産することも内定しており、栽培面積は急速に拡大していく見込みだ。
「農家を儲けさせたい」。宮地はなぜ農家が儲かる仕組みを作ろうとするのか。
「いまの市場の体制だと農家や産地を儲けさせることはできないと思っています」
宮地は古巣の業界をこう批判する。かつて浜松市中央卸売市場に入っている荷受け会社のセリ人だった。荷受け会社の使命は産地から仕入れた青果物を「一円でも高く、一箱でも多く売ること」。荷受け会社はその売り上げから定率の手数料を受け取る以上、「産地とは一対の関係にある」という。
全国的に見た場合、浜松市中央卸売市場の存在感は高いとはいえない。他地域の市場関係者も含めた産地での集まりではだいたい末席。それでも産地の信頼を得て、青果物を集めてくるにはどうすればいいのか。宮地はさまざまな手を打ちながら業績を積み上げていった。「ほかのセリ人より30倍は売り上げていた」と豪語するほどだ。
では、なぜセリ人を辞めて独立したのか。
「度が過ぎた、出る杭だったわけ」
優れた業績を出し続け、30代で役員になった。部下は自分より年配の人ばかり。疎まれた結果、利権争いに負けた。
セリ人としての敏腕は業界に鳴り響いていたのだろう。あるとき、荷受け会社の社長らが集まる場に招かれた際に勧誘を受けたが、丁重に断りつつもこう尋ねた。

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