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知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ

チリ 市場開拓から栽培の復活を夢見るスーパーフード・ヘンプ

戦前は南米随一の生産地

チリの国土は南北4200kmにわたり、北はアタカマ砂漠を通じてペルーと接し、南米大陸最南端に至る。長い地形を利用して多様な農林水産業が展開されており、特にワイン用のブドウ、水産物、木材チップ等の分野で輸出を伸ばしている。国土面積は日本の約2倍、人口1800万人を有する。
ヘンプの歴史は、ほかの南米諸国と同じく16世紀のスペイン征服時代に始まった。植民地との海洋交通を支える帆船の帆布やロープに使うヘンプ繊維の需要に応えるため、スペイン王室はヘンプ栽培を熱心に推進していた。1777年から1810年にかけて、領内でのヘンプ栽培に補助金を支給していたほどである(本誌19年7月号参照)。なかでもチリはアンデス山脈からの水資源が豊富で、ヘンプの茎から繊維と麻幹(オガラ)を分離するレッティング工程の冷水法に適していた。
冷水法とは、ヘンプの茎を刈り取った後、束ねた茎を溜め池や流れの緩やかな河川に夏場なら8~10日間、冬場なら12~14日間ほど水に浸け、微生物の作用で、繊維を剥ぎやすくする方法である。長年、欧州で行なわれてきた農場で雨露を利用するレッティングよりも、品質の良い繊維が採れた。加えて、当時のヘンプの産地は北半球に集中しており、南半球に位置するチリは収穫する季節が反対であることも販売に有利に働いた。1818年にスペインから実質的に独立した後、主要な輸出農作物となった。この「チリ・ヘンプ」は、記録によると北部、中央部、南部の各地で栽培され、ピーク時には2万haを超えていた作付面積は、1930から40年代になっても5000ha程度を推移し、南米随一の生産地を誇ったのである。

マリファナの非犯罪化に続く医療用の合法化

国際的な大麻規制が盛り込まれた1961年麻薬単一条約の締結後、チリでは73年に麻薬法が制定されたが、この法律は大麻草(麻)について言及していなかった。その背景には、南米で最も嗜好用大麻(マリファナ)の愛好家が多いという事情がうかがえる。

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