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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第20回(番外編) 日本ワインは成長産業か?北上仮説、都道府県別産地動向 マンズワイン小諸ワイナリー(長野県小諸市)


なお、酒類全体の中で、ワイン消費はどう位置づけられるか。表2に示すように、一番沢山飲まれているのはビールであるが(酒類の45%)、ワインは8%に過ぎない。なお、清酒に対して、ワイン消費はまだ半分である(数量ベースで60%、金額ベースで54%の水準)。
ちなみに、米国はワインの新興国であるが、酒類の構成はビール45%、スピリッツ38%、ワイン17%である。欧州諸国はワインの比重がもっと高い。日本は、ワインの比重は4%台であり、ワインの普及度は国際的にみて低いといえよう。

■どこから輸入しているか
ワインは輸入依存度が高いが、どこから輸入しているのか。表3に示すように、日本のワイン輸入先はフランスが多いが、次いでチリ、イタリアの順である。フランスから高価格ワインを輸入、チリから低価格ワインを輸入という構図である。ボルドー、ブルゴーニュ信仰の厚さが際立っている。米国、イタリアからの輸入も比較的高価格である。
2019年の世界ワイン貿易戦争の影響は、まだ表3には現れていない。19年、米国がエアバスをめぐる報復措置として欧州産ワインに追加関税をかけたことに伴い、欧州産ワインの輸入価格が上昇、米国への輸入は減少した。今後、欧州産ワインはどこに向かうか。
一方、米中貿易摩擦では、18年、中国の報復関税で米国産ワインの中国向けは減少している。世界一の成長市場・中国を失った米国産ワインはどこに向かうか。
欧州産も米国産も、輸入関税ゼロの日本市場は魅力だ。国内製造ワインは、どのような戦略で迎え撃つのか。今後、世界の関税戦争の影響が注目される。

2 日本ワインは新規参入ラッシュ

■山梨県の独占度低下
全国各地で、ワイナリーが増えている。表4に示すように、全国にワイナリーが立地している(ワイナリーのないのは奈良県と佐賀県の2県のみ)。2019年現在、一番多いのは山梨県でワイナリーが85場もある。次いで、長野県38場、北海道37場である(注:このワイナリー数は国内製造ワインの醸造場数であり、日本ワイン以外も一部含む。日本ワインのみのワイナリー数は国税庁調査では不明)。
日本ワインの生産量を県別に見ると(表5)、山梨県のシェアは15年度以降34.7%、33.2%、31.3%、31.2%と次第に低下傾向にある(注:本調査は各年次で回答率が異なるため、経年比較はこの点留意が必要であり、参考値である)。

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