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【知っておきたい 世界各国の産業用ヘンプ】
オーストリア 栽培・加工、商品販売、観光までヘンプづくしの村おこし
- NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク 理事 赤星栄志
- 第33回 2020年08月24日
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農村文化を体験できる ヘンプ・ツーリズム
ヘンプ産業で活性化した村には、ヘンプシードを使ったパン屋、ヘンプの花序から作ったヘンプワインの醸造所などができた。ヘンプランド社と連携して、観光業にも発展した。「ヘンプ・アドベンチャー・トレイル」という農村文化体験型のツーリズムとなったのだ。07年に開始したこのツアーは、5月から10月までの毎月第一火曜日に開催される。
参加者は昔ながらのトラクター(15人乗り)や馬車(12人乗り)に乗り、ヘンプ畑を見学し、ヘンプ博物館で村の歴史とヘンプ産業の今を学ぶ、ガイド付きの2時間コースだ(図5)。ツアーの前後に近くの町に開店したヘンプオイルを使ったマッサージ屋に寄ったり、ヘンプ化粧品を購入したり、オプションが生まれている。
また、ヘンプクリートによる地域コミュニティハウス再生プロジェクトも忘れてはいけない。06年にアイデア競技会の新農村&地方経済部門で優勝し、その賞金と寄付を募って村民が参加する形で始まった。古くなった地下室貯蔵庫(セラー)を、ヘンプ繊維の断熱材と、ヘンプ茎と石灰が原料のヘンプクリートの壁に用いて2年がかりで再生した。09年に完成した建物は、ヘンプツアーの立ち寄り場所にもなり、村の祭り、集会、物産展、美術展など多機能施設として利用されている(図6)。
農地に囲まれ、牧歌的な小さな村がユニークな取り組みを次々と生み出す秘訣は、ハンフタール村のモットーがそのすべてを物語っている。
-ハンフタールで良いことは
何も起こりません。
あなたがそうしない限り-
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赤星栄志 アカホシヨシユキ
NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク
理事
1974(昭和49)年、滋賀県生まれ。日本大学農獣医学部卒。同大学院より博士(環境科学)取得。学生時代から環境・農業・NGOをキーワードに活動を始め、農業法人スタッフ、システムエンジニアを経て様々なバイオマス(生物資源)の研究開発事業に従事。現在、NPO法人ヘンプ製品普及協会理事、日本大学大学院総合科学研究所研究員など。主な著書に、『ヘンプ読本』(2006年 築地書館)、『大麻草解体新書』(2011年 明窓出版)など。 【WEBサイト:麻類作物研究センター】http://www.hemp-revo.net
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