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土門「辛」聞

“冬のお化け”話で煽る種苗法改正反対派に根拠なし(3)


その独占態勢というのは、具体的には、稲の種子に対する奨励品種制度、種子生産圃場(採種圃)の指定、種子の審査制度のことだ。とくに稲の品種開発と農業現場への普及は、公的機関でも、とくに都道府県に有利に働く制度となっている。見過ごしてならないのは、種子法が廃止されても、ゾンビのように生き残ってしまったことだ。これが民間企業にとって参入障壁となっているのだ。

大学も阻まれる「奨励品種」の壁

稲の品種開発では、半ば公的機関のように思われている大学農学部も不利な立場にある。農学部系の学科を有する大学は全国に約80。うち植物を対象にした育種学科コースがあるのは、その半数ぐらいだろうか。多くは地方の国立大学農学部。当然、稲の品種登録に多くの大学農学部が名前を連ねていると思われがちだが、ないに等しい数だった。
「主体別品種開発数」によると、大学に帰属する食用作物の品種登録は、777品種のうち、わずか25品種しかない。ちなみに作物全体では8135品種のうち90品種。鈴木さんの母校・東京大学はたった2品種。それも「月のほほえみ」「緑地美人」の名称がつくハス科の水生植物で、稲の品種登録はない。
品種開発の分野で大学農学部の存在感がない理由は何だろうか。思い当たるのは、宇都宮大学農学部(栃木県)の前田忠信名誉教授が開発した稲の品種「ゆうだい21」のケースだ。農水省の品種登録を2010年に受けながら、10年経過しても栃木県の奨励品種に指定にされていない。県に申請しても「奨励品種にはしない」というつれない返事だけが戻ってきたという。
宇都宮大学農学部附属農場の高橋行継准教授(博士)が「農業と科学」18年10月号に「『ゆうだい21』の品種特性と育成過程」と題して、栃木県の姿勢を暗に批判するような次の一文を寄せている。
「ゆうだいは、都道府県等における水稲育種戦略の中で育成された品種ではない。このため、栃木県の奨励品種としては採用されていない。現地に普及拡大を図るためには、奨励品種であれば県が進める作付け計画、栽培技術指導はもとより販売戦略、さらには種子生産までの様々な業務を大学が単独で実施しなくてはならず、本来研究・教育が主務である大学にとって制約が非常に大きい」
ゆうだい21は、冷めても食味が落ちないという品種特性がある。それに着目した大手コンビニ・チェーン2社から、弁当やおにぎりに使いたいとオファーを受け、契約栽培の形で年間7000tを供給。種籾も、栃木県から採種圃の指定が受けられないからと、富山県に委託している。

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