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新・農業経営者ルポ

キロ単価1万円のイチゴはなぜ生まれたのか



系統出荷をやめてECサイトへ

生産の安定に苦心する一方、武下は新たな売り方を模索する。最初に試したのはヤフーオークション。当初は失敗もあったものの、そのうちに多い月には売り上げの半分を占めるまでになった。
逆に減っていったのはJAへの出荷量。これがJAの生産部会で問題になったため、2006年に思い切って脱会する。ただ、その反動は大きかった。大きな負担としてのしかかってきたのは梱包と発送、顧客対応などだ。JAの部会員だった頃はパック詰めをしたらJAに出荷するだけで済んだ。産直となるとその作業が自分に降りかかって来る。
「当初は大混乱でしたね。お客さんから到着の時間帯を変更してくれと連絡があったり、かと思えば損傷事故のクレームがあったり。産直農家がいかに大変か、身をもって知りました」
独立してからは小売店に営業をかける一方、ヤフーや楽天などのモール型ECサイトにも出品する。しばらくしてから自社のECサイトも立ち上げた。売り上げは数年前まではモール型ECサイトのほうが多かった。だが、いまではモール型ECサイトが2割、自社ECサイトが5割と逆転した。残りはふるさと納税の返礼品や次世代住宅エコポイントの交換商品などでの売り上げだ。

産直農家だからこそできるサービスとは

武下が自社のECサイトの商品で心がけたのは、「スーパーやデパートにはできない、産直農家だからこそできるサービス」。それこそすでに触れた「完熟出荷」「期日指定配送」「安心保証制度」だ。いったいどうやって実現しているのか。
基本的に楽農ファームたけしたは完熟したイチゴだけを収穫する。日によって注文量より多いこともあれば少ないこともある。多かった分はすべて加工に回す。フリーズドライの果実の形状が崩れずに整っているのはそのためだ。
逆に少なかった場合には「期日指定配送」がかなわない。この場合、事前に顧客に電話して別の日に配送して構わないか相談する。
最後の「安心保証制度」で厄介なのはクール便での凍結事故だとすでに述べた。楽農ファームたけしたでは対策として箱の内部にエアクッションを敷き、外部には気泡緩衝材を巻きつけている。ただ、それでも吹き出し口付近に置かれると凍結してしまう。
そこで宅配業者に委託する荷物には「配達シール」を張ってきた。武下は当初、「気を付けて取り扱ってください」と書いたシールを作ってパッケージに張っていた。ただ、それでも凍結事故は思ったほど減らない。

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