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特集

種苗法改正 賛成51%、反対24% 本誌アンケートで徹底解剖

本誌8月号、9月号の2回にわたり、特集の「種苗法改正で日本農業はよくなる!」を取り上げ、種苗法改正の当事者である育成者と農家の声を掲載した。今回は、農業関係者や個人育種家へのアンケートと追加取材で、さらに当議論を深く掘り下げ、改正の本質を探る。(構成/紀平真理子)

緊急! 農業関係者アンケート

調査期間:2020年7月27日~8月17日
調査主体:(株)農業技術通信社
調査目的:農家を含む農業関係者が、種苗法改正についてどのような考えや意識を持っているか明らかにする。
調査方法:農業経営者、農業ビジネスの読者にウェブアンケートを送付
回答数:255件

【賛成が過半数を超え、反対を大きく上回る結果に】

農業関係者の半数である50.7%が法改正に賛成・やや賛成、24.4%が反対・やや反対と回答した。また、どちらとも言えないやその他と回答したうちの多くが「内容を把握していない」などの理由だった。

【賛成理由は「育成者権・知財権の保護」「海外流出の防止」で80%】

「育成権者の保護と日本の種苗技術のさらなる向上」(東都生活協同組合 商品部)
この意見と同様に、主な賛成・やや賛成の理由は、「育成者権・知財権の保護」が60%以上(全体62%、農家69%)と最も高かった。
「国内においても権利侵害が横行している。農家の知財リテラシーのなさは若者が農業に魅力を感じない先人の行いの一端であると思う」(匿名/野菜4300平方m/生産費における種苗費の割合8%/栄養繁殖による品質管理のため5%自家増殖)
また、「海外流出の防止」が20%(全体20%、農家21.4%)と続く。
「海外流失防止のついてはしっかりと改正すべき。自家増殖については世間での理解は農家の利益を無くすような報道(SNS含め)になっている。真意ではない話で反対意見が拡大されてしまったと思う」(匿名/種苗会社役員)
「欧米企業の権利意識及び実施状況からすると、日本の現状は手ぬるい。過去にキノコ類の種菌流出が問題となり、野菜ではないが東南アジアでも既に和牛の血統を持つ牛が肥育されている。こんな状況だとますます日本のブランド農産物が海外に流出する」(匿名/熱帯樹、果樹、米、野菜等5ha/主として自家消費用、生産費に占める種苗費の割合0.5%/フィリピンのローカル品種を自家消費として10%程度自家増殖)
その他、「日本農業が良くなるため」「対価を支払うのは当たり前」「反対派の取材を受け、その人に不信感を持った」などの理由が見られた。

【「グローバル企業に支配される」が反対理由で最も多く30.6%】

――一方、反対・やや反対の回答者のうち最も多い理由(全体30.6%、生産者23.1%)が、「グローバル企業に支配される、日本の植民地化が進む」といった種苗法改正と直接関係のない言説であることが今回の調査で分かった。たとえば、このような内容である。
「国民の財産としての種子や栽培方法に海外グローバル企業が支配してくる。国産の安全で安心できる農産物の確保ができなくなる」(匿名/会社員)

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