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特集

種苗法改正 賛成51%、反対24% 本誌アンケートで徹底解剖



種苗法改正に反対しても在来種は守れない

間宮俊賢
2017年まで国分寺カフェスローに勤務。その後、有機農業をサポートする事業や企画、執筆、イベント制作など数多くのプロジェクトに携わる。「たねと食のおいしい祭」「たびくるマルシェ」「雲仙たねのちいさな野菜市」「次代の農と食をつくる会」「有機農業の日」等。

日本各地の在来種(独自の定義で古来種野菜と呼称)だけを専門に販売しているwarmerwarmerという八百屋がある。ウェブサイトからボックスでの注文が可能なので、食べてみたいという方はぜひ一度試してみてほしい。
http://warmerwarmer.net/

僕は、オーガニックカフェのマネージャーを10年ほど務めるなかで、珍しい在来種・固定種の野菜や穀物(以下「在来種」と表記)の栽培に取り組む生産者と多く出会ってきた。カフェは環境NGOのメンバーで創業されたこともあり、エコ系情報の発信拠点としての側面を持ち、100名規模のイベントスペースとしても活用できる。
必然的に、オーガニック・フェアトレード・環境運動の団体や事業者との繋がりが多く、そうした団体との共催で、在来種がテーマのイベント「たねと食のおいしい祭」が生まれ、企画制作を担ってきた。生産者による農産物や加工品のマルシェに加え、在来種を使った料理の屋台、餅つき、トーク、ワークショップ等を行ない、毎回多くの来場者に楽しんで頂いた。

【オーガニックコミュニティの内側で起こったこと】

カフェの退職後は幾つかの有機農業関連の団体から事業や企画を請け負っている。そのような人物である僕が種苗法改正に賛成し、さらに農水省の担当者を招いて反対論の検証イベントまで企画したことで、周囲からは驚きや戸惑いを含め様々な反応があった。有機農業や在来種に関わる多くのコミュニティ内では、種苗法改正に強く反対する意見が大勢を占めていたからだ。
ただ、相当な風当たりを覚悟していた割には、むしろ理解や賛同の声に背中を押されることも多かった。盛り上がる反対論に「何かがおかしい」と感じていたのは、決して自分だけではないとわかった。

【反対論の「物語」】

国家などの大きな力によって種子が支配され、権利が制限されるかもしれない、という不安を持つこと自体は何ら間違っていないし、正当な権利として守られる必要がある。
僕自身、必ずしも手放しで賛成はしていないつもりだ。実務レベルでの不明点は幾つも考えられるし、農水省からの発信・周知が圧倒的に不足しているのが今の状況を招いている側面もあるので、そうした議論や批判はあっていい。その意味で審議には時間をかけるべきとも考えている。

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