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さらに唐木氏は、「WHOは2月2日の報告において、新型コロナは真偽を取り混ぜた情報の氾濫を引き起こし、人々はどの情報が正しいのか判断ができなくなっていると述べた。そしてこの現象を、インフォメーション(情報)とパンデミック(世界的感染症流行)の二つの言葉を合わせて『インフォデミック』と呼んだ。すなわち『世界的情報感染』であり、世界はこれに感染したのだ」という。
唐木氏は、「もともと5類に分類されている季節性インフルエンザと同等の感染症であり、これを2類として扱ってきたことには二つの重大な誤りがあった。それは『リスクの大きさに対応したリスク管理を行う』というリスクの公平原則と、『リスク管理が生み出す別のリスクに十分配慮する』というリスク最適化の原則に反していた点である」と述べている。
8月30日の時点で、新型コロナのリスク評価を唐木氏は「日本ではインフルは冬季に集中し、感染者は年間に約1000万人、関連死を含む死者が約1万人発生している。一方、新型コロナは夏季にも発生し、その確定感染者は6万7000人弱、死者は1300人弱である」とし、東京都医師会の見解はいま見ても間違いはなく、新型コロナは当初から5類相当にすべきであったということになると述べている。
詳しくは、論座の唐木氏をはじめとするいくつかのレポートをお読みいただきたい。そして、唐木氏が語る「インフォデミック」の状況を冷静に自らの目で見直してみる必要を感じる。それだけでなく、世界中の政府が犯した「リスク管理の原則」からの逸脱、そしてそれによってもたらされた歴史に記録されるような世界規模での経済的損失はあまりにも大きい。
最初のボタンの掛け違いがもたらしている混乱。しかし、EU各国の批判を受けながらも新型コロナを季節性インフルエンザと同等の扱いにしたスウェーデンを参考にすべきと唐木氏は指摘している。
こうしたリスク管理の混乱とそれによる情報の混乱は新型コロナ問題に限らず、医薬、農薬問題などでの意図的なデマを流す人々の存在を含めて冷静に批判されるべきである。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
江刺の稲
「江刺の稲」とは、用排水路に手刺しされ、そのまま育った稲。全く管理されていないこの稲が、手をかけて育てた畦の内側の稲より立派な成長を見せている。「江刺の稲」の存在は、我々に何を教えるのか。土と自然の不思議から農業と経営の可能性を考えたい。
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