ナビゲーションを飛ばす



記事閲覧

  • このエントリーをはてなブックマークに追加はてな
  • mixiチェック

農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第21回(番外編つづき) 日本ワインは成長産業か?(下)自社農園産ブドウが増える マンズワイン小諸ワイナリー(長野県小諸市)


仮に1万本規模とすると(7.2キロリットル)、典型規模の姿は、原料ブドウ必要量10t、ブドウ栽培面積1haである(甲州の場合、単収2tなら、畑50a)。ワイン1本2000円と仮定して、売上高は2000万円である。もちろん、これより小規模なものが沢山ある。多くは家族経営である。この小規模クラスは、生産量では全体の23%を占める。
小規模ワイナリーが多数である背景として、日本ワイン業界は新規参入したばかりで、まだスタートアップ段階にある企業が多いこと、加えて、原料ブドウの拡大が容易ではないことが考えられる。さらに、「良いワインを造るには小さなことがいいことだ」という信仰も要因になっていると思われる。
このように、ワイナリーの経営規模は小さい。比較すると、例えば“農業経営”は売上高2000万円では小さい方である。5000万円はザラ、1億円以上も珍しくない。もちろん、畜産農家は10億円以上も多い。つまり、小規模ワイナリーの経営者は「農家」より小さいのである。メディアに登場し華やかに見える場合もあるが、経営規模は大方が想像するよりも小零細である(これは逆に、「貧農史観」に支配され、農業経営の変化〔大発展〕に気づいていない人が多いことにもよる)。
日本ワインのメーカーには、「ブティックワイナリー」とか「ガレージワイナリー」という言葉がある。上記のような小規模ワイナリーを指す言葉である。
これに対し、10万本から30万本の中堅メーカーもある。こうした中堅どころが35社ある(多くは100~300キロリットルクラス)。企業数では13%であるが、生産量では44%を占めている。10万本規模の場合、価格を2000円と仮定すると、売上高は2億円。20万本クラスで、売上高は4億円。恐らく、従業員15人程度の中小企業である。知名度の高いワイナリーはメディア等でもてはやされるが、そのイメージに比べると、実態は意外に小規模である。
上記国税庁調査以外の情報で捕捉すれば、日本ワインのトップメーカーは北海道小樽市にある(約250万本)。日本ワインのガリヴァーである。2位は長野県塩尻市にある(120万本)。ちなみに、サントリーワインやメルシャン等国内製造ワイン大手の国産ブドウ100%の日本ワイン生産規模は70万本程度である(注:国内製造ワインは5000万から6000万本と多い)。キッコーマンの子会社マンズワイン勝沼ワイナリーの日本ワイン生産規模は約100万本である。

関連記事

powered by weblio