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農業は先進国型産業になった!

日本ワイン比較優位産業論 現地ルポ 第21回(番外編つづき) 日本ワインは成長産業か?(下)自社農園産ブドウが増える マンズワイン小諸ワイナリー(長野県小諸市)


加工用の供給は、長野県、北海道、山形県で多い。当然、ワインの成長地域である。ぶどう王国・山梨県は加工専用品種は少なく、生食・加工兼用品種の加工向けが多い。

■自社畑・契約栽培・購入の形態別
農家減少=ワイン原料ブドウの減少にあらず、ということであるが、具体的にはワイン原料ブドウはどのように供給されているのか。
表13に示すように、ワイナリーのブドウ受入れ形態(調達方法)は、自社農園による生産、契約栽培、購入がある。一番多いのは契約栽培である。次いで購入。つまり、ワイナリーが自らブドウを生産するのではなく、農家から買っているのである。
自社農園からの供給は15%程度であるが、増える傾向にある。農家の高齢化に伴い契約栽培等によるブドウ供給が減る方向にあるので、自ら生産を始めたのである。生産農家の減少にもかかわらず、ワイン原料ブドウの供給が減らない理由はここから説明できる。
ワイナリーは自社農園を増やして原料を確保する方向に動いている。改正農地法(09年12月施行)により貸借規制が緩和され、一般法人(ワイナリー)による農地の貸借が可能になったことも大きい。
もう一つ重要な要素がある。ワイン用ブドウ品種は、欧州系品種(シャルドネ等)と在来品種(白ワイン用なら甲州等)があるが、従来から栽培されてきた在来品種は従来の生産者との契約栽培が多い。したがって、農家の高齢化に伴い、契約栽培は減る方向にある。
一方、近年伸びているのは世界で良質なワイン用ブドウとして認められている欧州系品種であるが、これは既存の農家では高品質なブドウの供給に不安があるので、ワイナリーが自社管理の農場で生産する傾向にある。表12に示される動きはこのように説明できる。
なお、注目しておきたいのは、田んぼを畑に改造してワイン用ブドウを供給する動きである。ワイン造りは“テロワール”(風土)を重視し、ブドウは降雨の少ない地域、傾斜地の水はけのよい土壌を好むとされ、ワイナリー立地の選択は重要であるが、その真逆の条件の水田地帯でワイン用ブドウを供給している。それでいて、負けない美味しさのワインができている。
筆者がこの事例に最初に出会ったのは山形県上山市原口地区のワイナリーであるが(本誌19年7月号、拙稿参照)、島根県出雲市でも水田改造畑のブドウでワインコンクール金賞を得ていた(本誌20年4月号、拙稿参照)。特に顕著な事例は長野県塩尻市のアルプスワインで、水田を大規模に転換して自社畑を増やし、日本ワインでは国内第2位の規模に成長している(本誌20年5月号、拙稿参照)。もし水田転換で成功すれば、ブドウ畑の規模拡大、低コストにつながる。テロワール論の見直しが必要なのであろうか。

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